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「ソフィーは神官の階級についてどれくらい知ってる?」




ルナは何も知らない私に丁寧に解説してくれた。

教皇が、この国を治めているからトップとして、次に神官長、神官長代理、上位神官その下に中級神官、下級神官と続く。そのうち上位神官以上は聖獣と契約することで人間よりもはるかに高等な魔法を使えるようになるのだという。中級神官も光の粒子に見える精霊たちと契約を交わしており、下級神官は契約が成立することで階級が繰り上がるのだそうだ。




「だから、そのお師匠様っていうのはきっと契約を取り付けてこいってことだと思うな!」




ロビンさん!!!そんなこと一言も言ってなかったよね!無茶振りすぎませんか....





***





朝になったらしい。

ルナが私を背に乗せると物凄い勢いで元来た道を走り抜ける。

行きは一人心細い道が、ルナと一緒だと冒険しているみたいで楽しく感じる。



そう、同世代の女の子と話す経験も今までなかったな。

ルナ、私を友達にしてくれてありがとう....




ロビンさんの家の前まで15分もかからなかった。本当に行きが嘘みたい。

ライオンの姿から人型に変身して二人で扉を叩いた。




「ロビンさん!ただいま戻りました!」




「ずいぶん早いご帰還だね。」




扉が開いた先には、マリーとラモンがお茶の席についているのがわかる。



.....



あれ?扉を開けたまま全く反応がないな?





なんだかルカはロビンさんに手を振っている様だけど、

ロビンさんは...あれ?固まっている。というか、ラモンとマリーもよく見たらこちらを見たまま静止している。





「そ、ゾフがメスの聖獣を連れてきた」





*****






「おいおい、これはまたおったまげたな〜」




見知らぬ声がこちらに向けられる。




「メスライオンに好かれるとはどんな深層風景してるんだ?それにしてもひっさしぶりに見るな〜」




何やらお調子者の様だけど、ルナをちょっと小馬鹿にしてない?




私は辺りをキョロキョロ見渡すが、声の主人が分からない。




「ソフィー、よ〜く見て。ほら、あの神官坊やの左肩」




ルナの言うとおり、目を細めてよ〜く見て見ると、ラモンの肩上で陽炎の様な空気の波動を感じる。




「ち、ちょっと!ケオ。初対面ですよね?落ち着いてください。」




「モリス様。説明していただけませんか?」




ラモンは、いつもより腹黒度が少なめの笑みを浮かべて紹介する。



「こちら、私の聖獣ケオルベルト。ドラゴンなんだ、ただ思ったことははっきり言ってしまうタチで。それに恥ずかしがり屋で...申し訳ない。」




「あれ?ケオだったんだ!懐かし〜相変わらず皮肉癖が治ってないね!」




「うるさい!お前の様なやつに言われたくないわ。俺は馴れ合う気はないからな!騙されんぞ!」




知り合いではありそうだけど、あんまり仲が良さそうではないな....




ようやく二匹の口論に割って入ってくれたのはロビンさんだ。





「まあ、良いではないか。久しぶりの旧友じゃろうて。ルナ、元気にしておったか?」





今まで高圧的な態度だったロビンさんが、なんだかソワソワしている。

ルナって一体何者なんだろう....




「そんなの、私がここにいる地点でわかるでしょ?ロビン。今、私は幸せよ。」




「.....と言うことは、まさか.....いや、信じがたいが......この者は」





「ロビン。協力、してくれるよね。」





今まで愛嬌しか感じなかったルナの周りに冷たい空気が流れた。

部屋の温度が一気に下がり、ルナには満面の腹黒スマイルが浮かべられている。





「わ、わかった。ルナ、お主が本気であることは承知した。出来る限り協力しよう。」








ロビンさんもたじろぐ様な場面の後、急に元に戻ったルナは少し用があるそうで、ロビンさんに私を任せて空高く飛んで行った。彼女がいなくなった後もしばらく部屋には沈黙が続いていた。





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