第5話 運命(さだめ)

2022年 12/25 9:00




今日はクリスマスだ。


今でも子供やリア充にとっては一大イベントだ。


おれが関係あったのは12歳までだったかな...


今日は彩に一か月記念もかねてプレゼントを渡す予定だ。


なんだかウキウキして酒でも飲みたくなってきた。




とりあえず今日会えるかどうかを聞いたところ夜なら空いてるらしい。


俺はそれまで適当にプレゼントでも探すことにした。




2022年 12/25 15:00




俺は駅前の大きな建物で買い物をした。


少し見栄を張って5000円もするネックレスを買った。


まだ一か月しか付き合ってないのにこんな高いもの上げるものなんだろうか...


買い終わって、エレベーターを降り、俺には手も出せない高級ブランド店ばかりの場所を出口目ざして歩いていると何やら見覚えのある人と他数人が店の前で話をしていた。


家族と一緒に来ているのだろうか、そう思いながらその人の横を横切ると、奥のほうに微かに彩らしき人物がいた。


俺は自然と彩らしき人物の法へと歩いていた。


近づくとそれは彩本人であることに気づいた。


そして誰かと一緒にいることにも気づいた。


それは会長だった。




2081年 5/8 10:00




俺は思わずまたあの時のように現代へ帰った。


どうしてまたあいつといるんだ、俺の何がいけなかったんだ、今まで順調だったじゃないか


俺は白黒つけるためまた戻った。




2022年 12/25 15:12




「彩!」




俺は過去に戻り、彩の姿を確認すると、すぐにそう叫んだ。


彩、そして会長もこちらに気づく。


彩の顔は見る見るうちに青くなり、固まる。




「あれ、雲野くんじゃん、どうしたの?彩の名前読んでたけど」




会長はそんなことを言った。会長は俺たちのことを知らないのか




「会長こそ何してるんですか?」




会長は照れながら「デートだよ」という


それから俺は会長に彩と付き合ってることを話した。




「雲野君違うの!これは!」




ふとそう彩が言う。


おれがそれに言い返す前に会長は「何が違うんだよ!」と怒鳴った。


店員さんも騒ぎに気付き、仲裁に入る。


どうやらあの見覚えのある人たちも気づいたようだ。


思い出した、あの人は彩があの時挨拶していた親戚の人だ。


だが、どうやら彩の親戚ではなく、会長の父親であるようだった。


俺が家族だと思っていた人はどうやらその人の妻と彩の両親らしい。


彩は母親に問いただされ、会長の親は彩の父親と何か話している。


俺は彩が浮気していたという事実が受け入れられず、また帰った




2081年 5/8 10:00




俺は彩にどうやったら浮気されないか考えた。


とりあえず思いついた手段は全部試した。


もっとたくさんプレゼントをあげてみたり、できる日は必ずデートしたり、会長がもっと彩にかかわらないようにしたり...


こんな年にもなって何やってるんだろうかと日付が変わる間際に思った。


そしてとうとう最後の手段にでた




2022年 12/2 18:00




この日は俺が彩を家に呼んだ日だ


勘違いしないでほしいが、特にやましいことはしてないし、しようともしてない


そして突然話を切り出す。




「なあ、彩。俺彩が会長と浮気してること、知ってるんだ。どうしてあんなにいい奴が彼氏なのに、俺なんかと二股かけたんだ?言いたくないいい、でもできれば教えてほしい」




そういうと今まで楽しそうに笑っていた顔がどんどん泣き顔へと変わっていく。


やはり、だめか。そう思っていると彩はゆっくりしゃべり始めた


彩はとある会社の娘であること、会社が最近の不景気で傾いていること、会長との交際は親が決めたことであること、そして親は会長の親に自分の会社を助けてもらおうとしていること、そして会長は外面はいいが、二人きりだと乱暴なこと、そんなことを言っていた


俺は悩んだ。


彩はおそらく今まで大変な思いをしてきたし、きっとこれからもそうだろう。助けてあげたいと思う気持ちはあった。


だが、彩は二股していたし、もしここで交際を続けると、俺はたとえ会長がどんな奴だろうと、裏切りに加担することになってしまう。


きっと会長は彩を愛しているから...


そう考えていると答えは彩のほうから出た。




「ごめんね」




そう崩れ気味の顔で言うと、彩...木村さんは俺の家から出て行った。


俺が彼女と付き合ったことは間違っていたのだろうか、いやきっと間違いだったのだろう。


俺が何度過去を行き来しても、木村さんとの結果は変わらなかった。


事実を知った今ならもしかしたらやり直せるかもしれない、そう頭によぎったがやめた。


きっと「彩」とはそういう運命だったのだろう...




続く

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