900文字 瓜子姫☆チェンソーマサカー
昔々。
お爺さんとお婆さんは付近に鬼が出るということで家を厳重に戸締りをし、留守を瓜子姫に任せ、出掛けた。
瓜子が
──ブォォォン! ブォォォン!
外からエンジンのような音が聞こえたかと思うと、厠の壁をバリバリ! ドッカーン! と、チェンソーで粉砕し、アマノサクガミが乱入して来た。
──チュィィィン!
それから、陽が暮れ。
ようやく家に帰り着いたお爺さんとお婆さん。
台所からとても美味そうな良い匂いが漂って来るではないか!
「おお! そうかそうか、瓜子がワシらの帰りを待って、夕飯の支度をしていてくれたか! 良い娘に育ったモノじゃわい。のう婆さんや」
「そうですねぇ、お爺さん。これなら良いお嫁さんになりそうですねえ」
「はて? これは、猪の肉かの? まっこと美味じゃ!」
「そうですねぇ、とても柔らかいし、歯の悪い私たちでも美味しく頂けますねぇ」
すると、瓜子が答えた。
「ふごっ! ふごっ! あ、頭も捨でね。頭でづぐっだヂーズ。グラグラど煮込む。べ、ベロさ取ってからな。そんで、骨がら肉をぞぎ取る。捨でるどごなんでねぇのざ。アゴだっで使っちまう。スジも目ん玉も全部だ。鼻も歯茎も全部煮で、脂のゼリーにな」
何やら、著しく様子がおかしい瓜子姫。
お爺さんとお婆さんが老いた目でしっかりと見やると……。
顔や首、腕に足といった、肌が露出してるところは皮膚がどこも老人のようにだるんだるんにたるんでいた。
ピチピチの白い絹のような瓜子の肌が。
「お、お前は…… う、うう瓜子の皮を被ったアマノサクガミでわ!」
すっかりもうろくしたお爺とお婆はようやく気が付いた。
「……ということは、ワシらの食ろうていた、こ、この肉は──」
瓜子に化けていたアマノサクガミは不敵に笑った。
「ふごっ! ふごっ!」
お爺さんとお婆さんは一目散に逃げ出した。
──ブォォォン! ブォォォン!
──チュィィィン!
瓜子の皮を被ったアマノサクガミは、チェンソーを振り上げ、老夫婦を追いかけたという。
《完》
(映画『悪魔のいけにえ』のヒッチハイカーの台詞をDVD見ながら著作権侵害にならない程度に引用)
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