第4話 道化師の宣言
「今言った場所にあなた方の戦力になりそうな人物がいるので、ぜひスカウトしてみてください。――その人物の名前は
通話を終えて、その場に立ち止まった。
「フー、これでお
さっきの電話である人物にレイジがいる場所を伝えておいた。彼女は以前からなぜかレイジのことを気にしていたので、うまくいけばスカウトしにいくはず。まあ、それ以前に久遠という苗字で、食いつかないはずがないのだが。それに向こう側はただでさえその立ち位置上、人員が少ない。最近今後のために
そう、後はレイジが彼女の手を取るかどうか。その選択で彼の人生は大きく変わるのだ。
「そして選択するのです。
レイジがいる方向へと手のひらを差し出しながら、意味ありげに告げる。
なぜこのようなお膳立てをしたのか。その答えはすべてそこに集約されていた。レイジの選んだ答えの果ての結末は、世界に大きく影響するはずなのだから。ゆえに彼がどんな答えを出すのか、興味が尽きないのだ。なので自分がやることは、レイジをより劇的な結末を生む答えに
「うふふふ、なんたってレイジさんは久遠の
これまでのようにすべての因果には久遠が関わっている。いつも彼らが中心となり、そして結末に導くのだ。きっと今回も、また最高の劇的な結末を見せてくれるのだろう。それが楽しみで仕方がなかった。
「運命からはきっと
あの子が彼の味方に付いている時点で、この理屈は証明されたも同然。もはや始まる前から、レイジは今後の
「――さあ、舞台の幕が上がるのはおそらく後一年後! 八年前の物語はまだまだ終わってません! パラダイムリベリオンはしょせんプロローグ! ――そう、ここからすべての女神と役者がそろった、激動の第二幕が始まるのです!」
踊るようにクルクルと回り、両腕をバッと横に広げる。そして芝居(しばい)がかったように宣言した。それはまるで声高らかに歌うかのごとく。そう、自分は今、この興奮する気持ちを抑えきれない。それはまるで恋する乙女のように。
「――では、ワタシはより劇的な結末になるように、これからも道化として踊り続けるとしましょう! うふふふ!」
冬華は最後に自身の方針を改めて確認し、はずむ足取りで車へと戻っていくのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます