第12話 詰み

 皇雅おうがの話はこうだった。


 この世の全ては『ことわり』によって厳しく定められている。 


 例:『何年、何月、何日、何時、何分、何秒に、頭を右手の人差し指で5回掻く』


 それは過去にも、そしてこれからも不変のだった。


 ところがある日、高校生の『しずみ 裕介ゆうすけ』が乗車する予定だった電車にトラブルが発生し、振替輸送に乗り換えた事で、本来接点が無い筈の『御代みよ 彩夢あやめ』と出会ってしまった。


 彼らは『来世』で結ばれる事が定められていた。 ……しかし、現世で出会ってしまった事により『ことわり』に瑕疵かしが生じ、全宇宙の崩壊が始まってしまったそうだ。


 ……数ヶ月以内にこの二人を引き離さなければ、我々の宇宙は文字通り『崩壊』してしまうと言う。


 そのため『神軍』と呼ばれる軍隊が二人に攻撃を仕掛けたが、それをはばむ者が立ち塞がった。


 彼等こそ『愛の防人さきもり』……『愛の女神アフロディーテ』や『キューピット』等、愛を護る為に戦う者たちの軍隊だ。


 ……実は『銀河の清き流れ』によって、『悪意』を綺麗に洗い流され『バウンティ・アーミー』をも失った『王牙おうが 刀弧とうこ』改め『皇賀おうが 透娘とうこ』は、この『愛の防人』に入隊する他に生きていく術が無く、俺たちに協力を求めて来たのだ。

 


 ……ちょっと何を言っているか判らないが、ひとつだけ判ったのは……


 勝っても負けても『俺たちに明日はない』って事だ。


 つまり……『詰み』……だ……。


 ……………………


 うわあああああ〜〜〜!


 ど〜すりゃ良いの〜〜〜!?

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