第3話 しあわせなやつ

しあわせなヤツって言われることがある。


決して褒め言葉ではなく、もしかしたらチョイあきれられてる・・というニュアンスも感じるけど、


それでも私は別にそんなに嫌な気にはならない。


しあわせなヤツで・・上等じゃんか・・って思ってる。




去年の春の自粛生活真只中のとある日、


何故かフラフープが目の前に置いてあった。


「できる?」


「いや」


「ほんとに?」


「ほんとに。子供の頃から一回も回せたことがない」


「回せるかな?」


偶然にもフラフープの回せないヤツばかりが3人勢揃いしていた。


というわけで、できないヤツ3人が順番にフラフープを回してみた。


言葉では言い表せないほどの、変な腰つき、不自然な動きをしながら・・。


その必死になっている姿は一生懸命だけど、おかしすぎて我慢の限界・・


お互い自分はそれよりはマシと思っているのか、そのうち大爆笑となる。



「勝負する?」


「勝負する」


となって、1週間後に3人で勝負することになった。


YouTubeの動画を見ながら、必死に練習した結果、私は2位となった。


それから毎週勝負していくうちに、段々と上達し、今は10分くらいは軽く回せるようになった。


おかげで、際限なく増加しつつあった体重と腹回りが原状復帰する・・というご褒美までついた。


フラフープ様様。


この前、NHKの朝の番組でアナウンサーのお姉さんが2人


「私フラフープを回してるんです」


って言ってた。


そうそう・・効果は私が実証しましたよって自分の手柄みたいに思える私ってほんとにしあわせなヤツ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る