空想日記

@sindainu

第1話 2021 7/28(水)セミ人間

気温が30度を超えている。くそである。

であるのに、私は出勤する。働かなければ生きていけないからだ。


工場に着きタイムカードを押す。0840昨日より5分早い。あくびをする。ロッカールームで作業着に着替える。昼休みまで頑張ろう。


セミ人間の話

セミ人間はジジジジと鳴く、ハサミの代わりに人間の手をしたバルタン星人を想像してもらえれば良い。身長は1.7mくらい。とにかくうるさい。

暑い中、汗をだらだらかきながら単純作業をしてる時などいつの間にか隣にいる。私の耳元でジジジジと鳴き、その騒音は私の頭の中で反響し、セミ人間が現れた時、私は何も考えることが出来なくなる。

思考をやめた空っぽの私には、暑さと蝉の鳴き声しかない。ただ、汗が流れる。ジジジジと声が響く、セミ人間がいる。ならば私の右手には拳銃があってもおかしな事はない。鳴き声しかない。私は振り返ってセミ人間の顔を見る。セミの顔、間の抜けた私の顔、右手の拳銃。セミ人間を撃つ。「パンッ」と呟く銃声。セミの声は消えて、工場の作業音と同僚の声が聞こえる。「金メダルとったん見たか?えらい試合やったよな」ああ、見ました。アレでしょあの、そう!ハハ!ヤバいっすよね!


夏場はセミ人間が現れて、私は空っぽになって彼を撃ち殺す。そんな話。

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