No.75「人の行く裏に道あり骸の山」

「もう拷問されないの……」

「そうだ」

「脂肪肝にならずに済むの……」

「そうだ」


 ご主人の言葉を聞いて、ぼく達はぐあぐあと喜びの声を上げる。


「やっと人道に目覚めたんだね」


 ぼくが声を掛けると、ご主人は底冷えする声で、


「ああ、今度からは北京ダックにするのさ」


 それはまた上品な殺し方で。

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