第13話 ヤラカシてない・・・ですわよね?
「りゅーにゃちゃま!」
「りゃあちゃま!」
二人で手を取り合って、ぴょんぴょん喜びのジャンプをしていると、異様に視線が感じるなと思い、ジャンプを止めて視線の方に目を向ける。すると、指導者のおじさん・・・もとい、魔法団のお兄さんが目を見開き固まっていたわ。
金髪に近いブラウンの髪色に濃いグリーンの瞳・・・うん、モブね。親しみを感じるわ。
「・・・き・・・君たち、そっそれは・・・」
そんなお兄さんが、何を言いたいのか分からないので、ジュリアンナと目を見合わせて、首を傾げる。そして彼は、深呼吸をして私たちに聞いてきたの。
「・・・君たちは、何故そんなに早く覚えられたんだ!?」
あら?何を驚いているのかしら・・・『エレセイ』のジュリアンナは、魔法を覚えるのは遅かったけど、今覚えた時間って『エレセイ』での学園の生徒たちと同じくらいなのよ、早いかしら?
「おちぃちゃ・・・おにーちゃまじぇ、りょりょしーきゃしりゃ?」(おじさ・・・お兄様で、よろしいかしら?)
「え、今"おじ様"と言おうとしましたか?」
「ちぃにょしぇーじぇしゅ・・・」(気のせいです・・・)
おじ・・・お兄さんにジト目で見られるが、視線を反らしたわ。
「まだ、二十代なのに・・・」
二十代でもピンキリあるわよね?それに、今の私からしたら、十分におじ様ですわね・・・。
「しょりぇじぇ、にゃんじぇしゅきゃ?」(それで、なんですか?)
「いや、君の魔法の覚え方が異様に早いのに驚いてね。何日か前から魔道具を使っていたのかい?」
魔法団のお兄さんがジュリアンナに、口をひきつけながら笑顔で聞いてきたわ。その笑顔が如何にも貼り付けた感があるわよ。
「いーいぇ。ちゅきゃっちゃきょちょわ、にゃいじぇしゅわ」(いいえ。使ったことは、ないですわ)
「では何故、そんなに早く・・・」
「りゅーにゃちゃまにょ、おきゃぎぇじぇしゅわ!しぃぎょいにょじぇしゅわ!」(ルーナ様の、お陰ですわ!凄いのですわ!)
「ちょんにゃきょちょ、にゃいじゃしゅわ」(そんなこと、ないですわ)
もう、リア様は誉め上手ね!ふふふ。私、魔法の先生になれるかしら?
「いや、具体的に説明をお願いします・・・」
魔法団のお兄さんが困ったように眉を下げるわ。
そんな、わちゃわちゃしていると、それに気付いたカーティスたちとナッターズ侯爵が近寄ってきたわ。
「どうしたの、ルーナ?」
「なにかあったのですか?」
「なにがあった?」
「また、へんなことしたのか?」
「・・・ぜったいしたね」
「おや~、何か問題でもあったのかな~?」
カーティス、ルーカス、エドワード、アンドリュー、デュラン、ナッターズ侯爵の順で声をかけられたわ。二つ、見過ごせない言動があったわよ!
「ひじょいじぇしゅわ!わちゃしわにゃにみょひぇんにゃきょちょしちぇいましぇんわ!!」(酷いですわ!私は何も変なことしていませんわ!!)
「しょーじぇしゅわ!りゅーにゃちゃまわ、わちゃちに、みゃひょうおおしえちぇきゅれちゃぢゃきぇじぇしゅわ!!」(そうですわ!ルーナ様は私に、魔法を教えてくれただけですわ!!)
「だって、ルーナはいつもなにかやらかすぞ」
私たちの想いの声を、アンドリューがバッサリ切るのよ!
くっ何も言い返せないわ!
「団長!このお二方の令嬢が、おかしいのです。もう、魔法が使えるのですよ!!この講習に来るまで魔道具は使ったことはないと言いますし」
「え?ルーナ嬢は元々使えるけど、ジュリアンナ公爵令嬢も、使えるの~?」
いつの間にか、ナッターズ侯爵は私を愛称で呼ぶのよね・・・「長ったらしいよね~」という理由でよ。もちろん、カーティスたちもいつの間にか愛称で呼ばれていたわ。
「りゅーにゃちゃまのぎょしじょうにょてゃみゃみょにょでぇすわ!」(ルーナ様のご指導の賜物ですわ!)
ご指導の賜物なんて、リア様は2才なのに難しい言葉がお分かりなのね。凄いですわ!
「・・・ルーナ嬢、詳しく!」
ナッターズ侯爵がジュリアンナの話を聞いて、前のめりで私を問い詰めってくるわ。
「・・・みゃりょきゅおにゃぎゃしちゃじゃきぇじぇすわ」(・・・魔力を流しただけですわ)
そんなナッターズ侯爵に引きながら、実際に体を後ろに引きながら言ったわ。
「魔力を流す?・・・もしかして、体に?」
「しょーじぇしゅわ」(そうですわ)
ナッターズ侯爵の問いに肯定すしたの。
「ヨーシ!実験するよ!!」
あ、ナッターズ侯爵の悪い癖が始まったわ。
「じゃ、ルーナ嬢、よろしくね~」
ナッターズ侯爵が満面の笑顔で言ってくるのよ~。
「え?」
よろしくねって何が?
「ん?指導だよ~。ルーナ嬢が考案したのだからね~」
魔法の先生になれるかしら~って思ったけれども!将来の話であって今じゃないわ!!それに、自分より大分年上の人に教えるなんて、絶対疲れるわよね・・・これはお断りの方向でいきましょう!
「きょーあん、しちぇにゃいじぇしゅあ・・・」(考案、してないですわ・・・)
うん、だって私、案を出してないもの。
「でも、ルーナ嬢がそれを考えて、直ぐジュリアンナ公爵令嬢に試したんだよね~?」
「しょりぇあ・・・」(それは・・・)
あ、危険性を考えないで試しちゃったわ・・・。
「それに、ジュリアンナ公爵令嬢にだけだと、不公平になっちゃうよね~?」
「うっ」
不公平・・・考えによってはそうなるわよね。魔法を覚えたい人たちに、詰め寄られたら困るわ~。
「他のみんなも早く魔法を覚えたいだろうし~、魔道具を使うのに順番待ちしなくても良いだろうし~、ジュリアンナ公爵令嬢だけずるいな~ってみんな思っちゃうよね~」
「う~~~」
自分だけじゃなくて、ジュリアンナにもみんなが詰め寄ったらどうしましょう!?
「ルーナ嬢がやってくれると、騒ぎにならないのだけどな~」
「あう~」
あー、罪悪感が増してきますわ!ジュリアンナに迷惑をかけるのも嫌ですし・・・。
「・・・わきゃいみゃしゅちゃあ」(・・・分かりましたわ)
「ありがとう~」
何故か、ナッターズ侯爵には勝てそうにありませんわ・・・。
「じゃ、先ずは私に魔力を流してみて」
「え?」
「え?」
何を仰っているのでしょう、ナッターズ侯爵は・・・逆に、何故、驚くのか分からないわ。そんな、なんで驚くの?という感じでキョトンとしても、あなたはやらなくても全然大丈夫ですわよね?
「じぇきゅみゃしゅあよにぇ?じぇんみゃひょー・・・」(出来ますわよね?全魔法・・・)
「ほら、危険かどうか、先ずは私が確認しないとね~」
ジュリアンナに、やった後なのですけれども・・・。
「・・・ほんにぇあ?」(・・・本音は?)
「滞っていた魔法全体の進化が更に進むかもしれないんだよ!面白そうじゃない~。やってもらいたいし、やってみたいよね~。ここでやらないと機会がないそうだし、後悔しそうだし。やってもらえなくて、魔法の研究が行き詰まるのなんてもっと嫌だよね~。それに、魔法に関することを、自分が経験しないなんてありえないでしょ~」
左様ですか・・・最後の言葉が最もの本音なんでしょうね・・・。
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