第27話 狂愛の思惑


紅葉side


凛怜「お、お前…サラ…なのか?な、なぜだ、お前は…あの…とき…。」


凛怜がこれ以上にないくらい動揺している。

無理もない、それは私もそうなのだ。


サラ「殺してしまった…ですわよね?」ニコッ

凛怜「っ!」


そう言いながら、笑った顔は、あの頃のままだ。

間違いない、彼女だと、思わざるを得なかった。


紅葉「あ、あなた、本当にサラなの…?」

サラ「ふふ、何をおっしゃいますの紅葉?私達はあんなに仲が良かったのに、忘れちゃいましたか?」


彼女だ、それは分かっている。だが、私と凛怜は彼女が死ぬところを見ている。

死者が蘇ることなど、ありえないことなのだ。



凛怜「お、おれは…お前を…。」

サラ「ふふ、お兄様、そんなに落ち込まないで。」

そう言って、抱きしめようとするサラから、凛怜を離した。


紅葉「凛怜、例え本物だとしても、聞きたいことは山ほどあるはずよ。それに、あの言動、グリドールに薬を渡したのはあなたじゃないかしら?」

凛怜「…っ!?」


凛怜もきづいていたのだろう、それを触れなかったのはまだ信じたいからこそだと思う。しかし、私がそう言うと、サラは笑いだした。


サラ「あはははははははは。」

紅葉「…何がおかしいのかしら?」

サラ「相変わらず頭が回ると思っただけですわ。そうね、薬を渡したのは私ですわ。」

紅葉「なぜこんなことをしたの?あの薬の恐ろしさはあなたも理解してるはずでしょ!?」


私が勢いよく問いただすと、サラは狂ったような笑みを浮かべ。


サラ「お兄様を愛してるからですわ!お兄様にはもっと強くなって貰わないと困りますの。」

紅葉「狂ってる…。」

私は思わずそう呟いた。


サラ「なんとでも言いなさいな。私は愛ゆえにお兄様の為に行動するだけですの。そして、いづれは私とお兄様は結ばれる運命ですわ。その瞬間を今か今かとずっとお待ちしてますのよ?ねぇ、お兄様?」

エリス「…ちょっといいかしら?」

今まで黙っていたエリスがサラに声をかけると、嫌悪感たっぷりと言った顔でサラは応える。


サラ「なんですの?」

エリス「結ばれたがってるとこ悪いけど、凛怜は私の婚約者よ?」


サラ「…あー、貴女がお兄様の婚約者とかいう薄汚い女ですか。黙っててくれます?殺しますよ?」

エリス「やってみなさいよ、私は強いわよ?」


凛「ねえ、だまってたらさ、いい気になってるけど、凛怜にぃは私達のなんだけど?」

怜「昔の女は黙るべき。」

それぞれ、戦闘態勢に入り、お互いに威嚇し合っている。

セーラ「…凛怜先生大丈夫?」

唯一セーラだけは、凛怜の様子をうかがっているが、それに凛怜は。


凛怜「あぁ、大丈夫だ、ありがとう…。」

気力を無理やり振り絞ったのだろう、明らかに空元気なのが伺える。


凛怜「…サラ、お前いままでどこn「MIOだ!動くな!」」

タイミングが悪く、MIOの連中が突入してきた。

サラ「…どうやら今日は、ここまでのようですわね。」

凛怜「まって、待ってくれ!」

サラ「ふふふ、また会えますよ。その時までお元気で、お兄様。」

そう言って、一瞬にしてサラの姿は消えた。


凛怜「サラ…。」


紅葉「ひとまず、ここはMIOに任せましょう。」

凛怜「あぁ。」

凛「凛怜にぃ…。」

怜「兄さん…。」


エリス「うじうじしない。今は帰るよ凛怜。」

そう言って、凛怜の背中をぶっ叩くと。

凛怜「いってぇ!」

エリス「ほら、行くわよ。」

凛怜「…もうちっと、優しくできねえの?」

エリス「あら、紅葉の方が良かったかしら?」

凛怜「いや、遠慮しときます。」

紅葉「…どういう意味かしら?」

凛怜「いや、まぁ帰るか。」


凛怜以外の全員「「「「「ええ!/そうね!/そうだね!」」」」」


それから、私達が学園に帰ると。


ファル「おーい!凛怜先生!みんな!」

シャロン「凛怜先生。」

サーシャ「凛怜せんせーい!」

ベルニカ「はわわ、凛怜先生!」

レイン「…先生!」

セツナ「終わったみたいだね。」


特殊クラスの皆がいた。


凛怜「お、お前ら…どうして?」

セツナ「私が教えたんだよ。」

紅葉「はぁ、全く。」

エリス「まぁいいじゃない?」

セツナ「みんな心配してたんだよ?」


凛怜「…ありがとうな。」


死にそうな顔してた、凛怜の表情から笑顔が戻っていた、、良かった。


しかし、まだまだ謎が多い、1番に考えるべきは凛怜だけど、サラの事も無視は出来ない。

吸血鬼の細胞はどこから手に入れた?

そもそも、サラは何をしているのか。

まぁ、今はやめておこうかな。

こんなに綺麗な光景を見ることが出来ただけでも、今はいいとしようかしらね。


エリス「紅葉?どうしたの?」

紅葉「ううん、なんでもないわ。とりあえず安心かなって思っただけよ。」

エリス「…そうね、とりあえずは一段落ってとこかしらね。」

紅葉「…そうね。」


ファル「凛怜先生、大丈夫なのか?」

凛怜「あぁ、大丈夫だぞ、心配してくれてありがとうな。」

シャロン「当然ですわ!わたくしの先生ですもの!」

サーシャ「私達の!でしょ!」

ベルニカ「そ、そうでしゅ!」


和やかな雰囲気に

セーラ「ふふ。」

凛怜「…笑ったな。」

セーラ「…え?」

凛怜「やっぱり、お前は涙より笑顔が1番だな。」

セーラ「ふふ、なにそれ、それはお兄さんもでしょ?」

凛「凛怜にぃ?なんかデレデレしてない?」

怜「兄さん、私たちにも構うべき。」

凛怜「うお!?」


見ていると、凛と怜が抱きつき始めた。

…ん?抱きついてるの?へー?

紅葉「…凛怜?」

エリス「凛怜?」


凛怜「え、紅葉?なんで怒ってんの?それにエリスも…?」

紅葉「怒ってないわ、ただ、鼻の下伸びてるわよ。」

エリス「私は怒ってるわよ?婚約者が浮気してたらそれは…ね?」

エリスの発言で、場が凍りついた。


特殊クラス全員「「「「「「「ど、どういうこと!?」」」」」」」

凛怜「え?え?」

紅葉「これは、またある意味一波乱起きそうね。」


でもまぁ、この平和な時も悪くないわと、私は思うのだった…。

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