第13話 昔の縁


凛怜side


俺たちは俺と紅葉専用の準備室にいる。

短い期間ではあるが、教師になった以上、準備室が用意されるようで、俺と紅葉の2人で1つの準備室を使っている。

完全防音で誰にも聞かれる心配もないので、重要な話もここで出来る。まさにマフィアの学園なのだなと思う。

教師をやるほとんどが、どこかしらのファミリーに所属している。

それは、実際に現場を見ている奴らなら教えやすいだろうという、配慮の1つだ。

そのためか、学園内では、様々なファミリーの機密情報も溢れており、密会が行われることもしばしばある。


そんな説明をしたが、俺は今。


リン「私寂しかったよぉぉぉ!」

レイ「レイも寂しかった…。」

2人の女の子に左右から抱きつかれている。

違うからな?そういう趣味じゃないからな?

これには色々訳がある。


凛怜「兄ちゃんが悪かったから、そう泣かないでくれ…。」

そう、リンとレイは潜入させていた、クローバファミリーの幹部であり、俺の愛しい双子の妹達なのだ。

リン=フィオーリとレイ=フィオーリは表の名前であり、主に潜入の時に使う名前だ。

濃い緑色の髪の姉が黒葉 凛くろば りん、薄めの緑色の妹が黒葉 怜くろば れいであり、れっきとした4番隊と5番隊の隊長だ。

この2人は一卵性双生児で、ほとんど見分けはつかないが、俺たちクローバファミリーは皆見分けられる。

紅葉「…いい加減に離れなさいな。りんれい」ムッ

いつまでもこのままではいけないと思ったのか、顔をムッとさせつつも、注意する紅葉。

セーラ「……。」ポカーン

予想をしていなかったのか、ポカーンとした顔をしているセーラ。

お構い無しにまだ2人は抱きついてくるので、俺はしょうがないなぁと思いつつ。


凛怜「このまま抱きついててもいいぞ?」

俺がそう言うと、凛と怜はとてもいい笑顔で

凛/怜「「やった!」」パァァ

こう言った、やば、うちの妹達天使すぎる…!


紅葉「…凛怜、また甘やかして!」

凛怜「まぁまぁ、今回だけ…な?」

紅葉「…はぁ、しょうがないわね。」

紅葉も何かと妹たちには甘いと思う。

まぁ、可愛いからな!甘くなるのも無理はないんだ!


紅葉「凛怜、デレデレするのは良いけど、置いてけぼりの子がいるわよ?」

と、言って、紅葉は視線をセーラに向ける。

凛怜「あ、そうだった、悪いなセーラ。」

そういうとセーラはポカーンとしていた顔をハッとさせ。


セーラ「いえ、大丈夫…です。」

と、セーラは、まだ混乱気味のようだが、なんとか返事をしたようだ。


凛怜「どうした?セーラ。」

セーラ「…あの、あなたはあの研究所で私を助けてくれたお兄さんです…よね?」

少し震えながら、声を上げるセーラに。

凛怜「…あぁ、久しぶり。大きくなったな?」

と、俺が言うと。

セーラ「ようやく、会えました…。お兄さん!」

と、泣きながら俺に抱きついてきた。

凛怜「うえ!?ちょ!?」

紅葉「…凛怜?」

凛「凛怜にぃ?」

怜「兄さん?」

抱きつかれて慌てる俺に、3人はとても冷ややかな目を向けてくる。そして…。


紅葉/凛/怜「「「説明しなさい!/して!」」」

…こうなるわけだ、トホホ…。


俺は、セーラとの出会いを紅葉達に説明した。


凛怜「5年前の事だ。俺は闇ファミリーの研究施設がある情報をキャッチしてな、その場所へ向かったんだ。その実験の責任者は殺し、施設でモルモットにされていた、子供たちを全員解放したと思ったんだが、地下深くのさらに奥にある部屋に監禁されている子供がいた、それがセーラだった。」


セーラ「…私は当時、力のコントロールが出来なかったんです。なので夢魔化を常にしている状態で、周りの人を巻き込んでいました。なので、監禁されたんです。」


凛怜「地下に監禁されていたからか、精神も不安定になっていてな、あの時は能力を落ち着かせて、エリスに頼んだって訳。」

俺とセーラで一通り説明すると、紅葉が。


紅葉「…それ聞いてないのだけど?」

凛怜「俺の独断でやった事だからな、まぁもう会うこともねえだろうなとは思ってた。」

セーラ「え?私、お礼が言いたくて、すごく会いたかったのに…。」

紅葉「…って言ってるけど?」

凛「ねえ、どういうことなの?浮気?」

怜「私たち以外もそういう人いるんだ…?」


凛怜「いやいや、浮気じゃねえからな!?」

セーラは確かに可愛いと思うが、それでもだ。

俺が手を出したら、色々な意味で終わってしまう。

ここは何とかしなければ!


凛怜「な?セーラからもなんか言ってやれ。」

セーラ「え、べつにおにいさんなら」((ボソッ

凛怜「…え?ごめんなんて言った?」

セーラ「な、なんでもないです。」

俺とセーラに微妙な空気が流れる…。

え?なにこの空気、気まづすぎる…だれか助けて欲しいと思い。俺は紅葉達に視線を向けると。


紅葉「」ニコッゴゴゴ

凛「」ニコッゴゴゴ

怜「」ニコッゴゴゴ


…うん、怖いわ、これは完璧怒ってるやつだわ。


凛怜「オホンッま、まぁあれだ、一応俺たちのことは内密に頼むぞ。」

セーラ「え、あ、はい、わかりました。」

凛怜「じゃあ、話は終わりだ、俺達も帰るか。」

と、言って椅子から立ち上がろうとすると。


紅葉「セーラさんは先に帰ってていいわよ。ちょっと私たちは凛怜に話があるから。」

凛怜「え、ちょ…。」

セーラ「あ、はい…。それでは失礼します。」

凛怜「あ、まっt。」

紅葉「」バンッ

凛怜「」ヒェッ

紅葉「凛怜、そこに直りなさい!」


俺はこの日紅葉達の手で地獄を見せられたのであった…。


??「ふーん、なるほどね…。面白くなりそう🎶」

この時誰も気づかなかった、誰かが聞いていたということを…。

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