第2話 紅は突然に

凛怜side



…結局あんまり眠れなかった、とてもじゃないけど、眠れる状態に持ってきてくれなかった。

え、誰がって?そりゃ、隣で幸せそうに未だに眠りこけてる、可愛い妹がだよ。当の本人はというと、

愛凛「うへぇ…にいさぁん。」スヤスヤ


…ね?こんなに可愛いんだよ。え?妹をくださいって?絶対やらないからな!最低でも、俺より強くないとダメだから!って、俺は何を言ってんだろ…。

と、変な事を思っていると…。

愛凛「うみゅ、おはよぉにいさぁん。」

愛凛が目を覚ましたようだ。

凛怜「お、おうおはよう。よく眠れたか?」

頭を撫でながら、聞いた

愛凛「んんー、うん…。とても寝れた!」


…お気づきだろうか、愛凛の寝起きは幼子みたいになってしまうのだ。はい、可愛い。天使かな?天使だよ。天使だね。天使だったわ!若干?のキャラ崩壊を起こしてる最中に、愛凛の目は完全に覚めたようで

愛凛「き、昨日はありがとう兄さん…。」

凛怜「あ、あぁいいんだ。甘えたい時に甘えればいいんだから。」

そう言った後、愛凛は突然抱きついてきた。

愛凛「じゃ、じゃあもう少しこのままで…。」

凛怜「ふふ、あぁいいぞ。」

俺も抱きしめ返し、頭を撫でてやる。


その時、愛凛から思いもよらない言葉が出てきた。


愛凛「そういえば、今日は、紅葉くれは姉さんが帰ってくるんだったな、兄さん。」

この瞬間俺の時が止まった。

愛凛「に、兄さん?変な汗出てるし、なんか身体震えてないか?大丈夫…?」

凛怜「だ、大丈夫だ。」ガタガタガタガタ


黒葉くろば 紅葉くれはは俺にとって、天敵とも言える存在。別に仲が悪い訳じゃない。ただ、だらける俺に何かと厳しいのだ。そりゃもう鬼と言う言葉が似合いすぎる妹だ。昔から、ボコボコにされたり、色々激しく注意されたりと、とてもトラウマなのだ。


凛怜「そ、それでいつ帰ってくるって…?」

愛凛「んー、たしか今日の朝には帰るって聞いたような…。」

そう聞いた俺は…。

凛怜「よし、逃げよう。」

と、最速で着替え窓から飛び降りようとすると、

??「どこに行く気なのかしら?凛怜…?」

と、俺が今、聞きたくなかった声がした。振り返ると、どす黒い笑みを浮かべた、紅葉が腕を組んで立っていた。

紅葉「ま・さ・か、私から逃げるつもりじゃないでしょうね…?凛怜?昨夜は、愛凛と随分お楽しみだったようね…。いつからこのシスコンさんはただの変態になったのかしら?」

凛怜「い、いや誤解だ!な!愛凛?」

愛凛「え、あ、あぅ…」プシュー

誤解を解こうと愛凛に聞くと、愛凛は昨夜の事を思い出して、赤くなっていた。それを見て。

紅葉「…問答無用よ!凛怜ぁぁぁぁぁ。」

凛怜「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」

と、凛怜の叫び声が朝から響き渡るのだった…。


紅葉side


ようやく帰ってこれた、凛怜や妹達は元気にしているかしら。

私は長期任務の為、少しの間だが、クローバファミリーを離れていた。歩いていると、私にとって、かけがえのない妹が話しかけてくる。

瑠衣「姉さん!」

紅葉「あら、瑠衣、元気だった?凛怜は相変わらずかしら?」

瑠衣「うん、変わらず元気だよ。兄さんも相変わらずさ。今はまだ愛凛と寝ているんじゃないかな。」

紅葉「…え?まって、どういうこと?」

聞き間違いかしら?愛凛と寝ている?凛怜が?へー

瑠衣「姉さん、顔が怖いよ…?」

紅葉「ふふふ、あの変態に制裁を加えないといけないみたいね。」

瑠衣「ほ、ほどほどにね?」

そんな声を尻目に凛怜の部屋へ向かって歩き出した。

瑠衣「あらら、姉さんも大概だなぁ。あ、そういえば、兄さん知ってるのかな。ま、いいか。」

瑠衣が何か言ってたけど、何かは分からなかった。


私が凛怜の部屋の扉を開けて、そこには愛凛と目的の人物である、凛怜が居た。「よし、逃げよう。」という言葉を吐きながら、窓から逃げ出そうとしているところだった。

そんな、凛怜に一言、私は言う。


紅葉「どこに行く気なのかしら?凛怜…?」と…。

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