Episode 106「勝ち目」
今日は夏イベントの初日。
正直、少し浮かれてたりする。
そうは言っても、イベント中に何かやりたいという明確な目標があるわけでもない。
だからまあ、いつもとあんまり変わんないんじゃないかなって思ってる。
運営さん曰く、クエストを熟しまくってポイントを集めてそのポイントで報酬を貰う、だそう。
大雑把な形式はいつものイベントと似たような感じに思えるけど、今回のイベントは、いつものとはだいぶ違う。
どこが違うのかと言うと、例えば、イベント期間とか。
夏イベントは8/1~8/31までの開催となっていて、今までとは比べ物にならない。
他にも、夏イベント中に他のイベントが開催されたりもするらしい。詳しくは知らないけど。
今回は長期だし、私は気長にやるけどね。
むしろ、イベントには積極的に参加することは無いかもしれない。
31日間もイベントのことだけに、は言い過ぎかもしれないけど。
このイベントに進んで参加しちゃったら、その分、自分の時間を消費するというわけで。
それが一日二日とかならまだしも、丸一ヶ月は流石に……。
無論、イベントが私にとって楽しいものなのだとしたら、その時は積極的に参加するだろうけど。
私はまったり遊びたい派だし。
じゃあ今日もログイン。する前に。
昨日作ったばかりの私のSNSアカウントを確認しておきたい。
フォロワーさんは増えているのか。
批判コメントばかり送られてこないか。
不安は募るばかりだけど、スマホでSNSのアプリを開いた途端、そんな不安は消え失せた。
全ては数字が表している。
フォロー中1 フォロワー1174
見た瞬間、バグかと勘違いしたくらい。
たった一日。いや、まだ一日も経ってない。
というか、アカウントを作成してからFLOにログインすらしてない。
当然、告知とかもしていない。
だと言うのに……千超え!?
少なかったら嫌だなぁなんて思いつつも、まさかここまでいくとは思っていなかった。
いやさ、時間が経てば、もしかしたら千や万だっていくかもしれないけど。
一日以内、って考えると……驚きだね。
ま、一日以内で千フォロワー増えるのが世間的に凄いのかどうかは知らないけど。
とりあえずは喜んでおくことにする。
ほんと、フォロワーさんには感謝だね。
最後に、サマーイベント楽しみ、と適当に呟いて、私はFLOにログインした。
◇ ◇ ◇
【FLO掲示板】
111:名無しの冒険者さん
『朗報だ! いや、朗報なのかは知らんが、情報だ!』
112:名無しの冒険者さん
『どした』
113:名無しの冒険者さん
『どっち?』
114:名無しの冒険者さん
『最初から「情報だ!」だけで良かったのでは』
115:名無しの冒険者さん
『確かにw』
116:名無しの冒険者さん
『なんでも良いから、情報はよ』
117:名無しの冒険者さん
『ツユっているじゃん?』
118:名無しの冒険者さん
『それがどうした?』
119:名無しの冒険者さん
『あぁ(察し)』
120:名無しの冒険者さん
『なんだ? ツユがまた何かしたのか?』
121:名無しの冒険者さん
『ツユって度々騒ぎ起こすから、もう慣れてきたわ』
122:名無しの冒険者さん
『そのツユ、なんと、……Tmitter始めた』
123:名無しの冒険者さん
『Tmitter』
124:名無しの冒険者さん
『なるほど。うーん、なんか微妙』
125:名無しの冒険者さん
『驚きはあるが……ツユが、ってことを踏まえると確かに微妙。パンチが足りない』
126:名無しの冒険者さん
『なんか可愛げを感じるな。バズりたいのかな』
127:名無しの冒険者さん
『ありうるw』
128:名無しの冒険者さん
『見た目からして、まだJKって感じだったし、当然っちゃ当然』
129:名無しの冒険者さん
『いや、それがさ。ツユのアカウント、FLO公式とアリアリにフォローされてんの』
130:名無しの冒険者さん
『は? マジで?』
131:名無しの冒険者さん
『アリアリって、まさかとは思うが、アリスちゃんじゃねえよな』
132:名無しの冒険者さん
『俺もさっき見てきた。そのまさかだったぞ』
133:名無しの冒険者さん
『わけわからん』
134:名無しの冒険者さん
『いやまあ、アリアリならまだ納得。色々と問題起こしちゃってるし』
135:名無しの冒険者さん
『本当の問題は、FLO公式にフォローされてることだ』
136:名無しの冒険者さん
『普通に凄くね』
137:名無しの冒険者さん
『すごい』
138:名無しの冒険者さん
『確かに凄い。でも、なんでなんだ? 普通に考えて有り得ないだろ』
139:名無しの冒険者さん
『いや、有り得ないことは無いんじゃね? 一応、ツユって、昨日公開されたPVに写ってたじゃん。しかも割と派手めに』
140:名無しの冒険者さん
『あ、見た見た。マジ鳥肌立った』
141:名無しの冒険者さん
『それな』
142:名無しの冒険者さん
『そう言えば、ツユ出てたな』
143:名無しの冒険者さん
『俺まだ見てないんだけど。ツユ出てるってマジ?』
144:名無しの冒険者さん
『マジマジ』
145:名無しの冒険者さん
『ちょ、俺も見てなかったわ。早速見てこよ』
146:名無しの冒険者さん
『あ? ってことは、もう既に、ツユとFLOって繋がってるってことだよな?』
147:名無しの冒険者さん
『繋がってるw』
148:名無しの冒険者さん
『だとしたら、フォローされてるのにも納得はできる』
149:名無しの冒険者さん
『もはや道理』
150:名無しの冒険者さん
『マジか。その線濃厚になってきた』
151:名無しの冒険者さん
『おい誰だ、微妙とかパンチが足りないとか言ったやつ』
152:名無しの冒険者さん
『全然微妙じゃないw』
153:名無しの冒険者さん
『あ、ツユがイベントに参加するってよ』
154:名無しの冒険者さん
『ほんとだ、呟いてる』
155:名無しの冒険者さん
『なんか可愛い』
156:名無しの冒険者さん
『それな』
157:名無しの冒険者さん
『キモ』
158:名無しの冒険者さん
『マジか、ツユもイベント参加するのか……ランキング上位、取れる気がしねえ』
159:名無しの冒険者さん
『ツユがいなくても無理だろ』
160:名無しの冒険者さん
『同意。最近は他の有力プレイヤーたちも、以前に増して攻略とか進めまくってるからな。ツユのせいで』
161:名無しの冒険者さん
『ツユがやる気を与えてしまった』
162:名無しの冒険者さん
『言われてみれば、第一回イベント以降のランキング上位プレイヤーのポイントが、今まで以上に増えていた気が……』
163:の冒険者さん
『なるほど、俺が上位に座れない理由がわかったぜ』
164:名無しの冒険者さん
『草』
165:名無しの冒険者さん
『w』
166:名無しの冒険者さん
『あー、ランキング上位に載りてー』
167:名無しの冒険者さん
『俺らじゃ一生掛かっても無理だな』
168:名無しの冒険者さん
『まじそれな』
169:名無しの冒険者さん
『悲しい現実』
170:名無しの冒険者さん
『俺はツユを追っかけるだけで幸せだな』
171:名無しの冒険者さん
『自分も同意』
172:名無しの冒険者さん
『変態がいるぞ! まあ、その気持ちはわかるが』
173:名無しの冒険者さん
『わかるんかい』
174:名無しの冒険者さん
『変態共はともかく、もはやツユはFLOのマスコット的存在になりつつある』
175:名無しの冒険者さん
『ファンクラブとかツユ推しギルドとか、変な組織もめっちゃ増えてるしな』
176:名無しの冒険者さん
『確かに』
177:名無しの冒険者さん
『そう考えると、改めて、ツユってすげえんだなって感心するわwww』
178:名無しの冒険者さん
『あの域に追いつけるプレイヤーとかいねえだろ』
179:名無しの冒険者さん
『マジそれな』
180:名無しの冒険者さん
『いや、ツユって元々はぽっと出だったわけじゃん? そんなやつが、また出てくるかもよ?』
181:名無しの冒険者
『そんなプレイヤーがポンポン現れても困るがwww』
182:名無しの冒険者さん
『一理ある』
183:名無しの冒険者さん
『そもそもツユって、FLOリリース直後からいたわけじゃないもんな』
184:名無しの冒険者さん
『ゆうて、一ヶ月とかそこらだったろうけど』
185:名無しの冒険者さん
『なんであろうと、第一回イベントでツユが一位を取ったのは紛れもなく事実』
186:名無しの冒険者さん
『それはそう』
187:名無しの冒険者さん
『ツユは偉大』
188:名無しの冒険者さん
『尊敬に値する』
189:名無しの冒険者さん
『何様だよw』
190:名無しの冒険者さん
『徹夜しまくれば夏イベは上位取れる気がするわ』
191:名無しの冒険者さん
『急にどうした』
192:名無し冒険者さん
『一ヶ月も徹夜すれば、イベント終わる頃には死んでるぞ』
193:名無しの冒険者さん
『まあでも、イベント期間中、ずっと徹夜してイベント熟してれば、もしかしたらツユに勝てんじゃね?』
194:名無しの冒険者さん
『どうなんだろう』
195:名無しの冒険者さん
『流石に無いだろ』
196:名無しの冒険者さん
『いや、ワンチャンあるかも。だって、ツユってイベントに積極的に参加する感じがしないじゃん』
197:名無しの冒険者さん
『それは思う。第一回イベントの時だって、仕掛けられた場合しか動こうとしてなかったしな。全滅させられる力があるのにも関わらず』
198:名無しの冒険者さん
『確かに』
199:名無しの冒険者さん
『それに、イベントに積極的に参加するようなプレイヤーは大抵、攻略組に行ってるし。攻略組にいない時点で、強さとかそういうのにはあんまり興味ないってことだろ』
200:名無しの冒険者さん
『納得』
201:名無しの冒険者さん
『名推理』
202:名無しの冒険者さん
『てことは、ツユはイベントには興味ないということ』
203:名無しの冒険者さん
『これは……あるのでは?』
204:名無しの冒険者さん
『ある……のか?』
205:名無しの冒険者さん
『あるか?』
206:名無しの冒険者さん
『あるだろ!』
207:名無しの冒険者さん
『これ、俺らでも上位狙えるんじゃね?』
208:名無しの冒険者さん
『いやいや。たとえツユがイベントに参加しないとしても、他にも強者はいるだろ』
209:名無しの冒険者
『あ、忘れてた』
210:名無しの冒険者さん
『だよな。ツユの強さが桁違いすぎて忘れがちだが、暁戦線とか終焉帝とか、他にも俺らじゃ到底敵わないようなやつらがいたわ……』
211:名無しの冒険者さん
『そうか? 終焉帝に限っては、第二回のイベントで該当なしを叩き出してたじゃねえか』
212:名無しの冒険者さん
『そう言えばw』
213:名無しの冒険者さん
『あれはまじでびびったわ』
214:名無しの冒険者さん
『それな。10位以内とか、ましてや100位以内にすら入ってないとか』
215:名無しの冒険者さん
『それにあの時のイベントって、ギルド対抗戦だっただろ。たとえツユがいたとしても、メンバーの少ない不死竜が上位にくるとが思ってなかったわ』
216:名無しの冒険者
『いや、俺は不死竜が上位にくるとは思ってたぞ。流石に二位と大差をつけて優勝するとは微塵も思ってなかったが』
217:名無しの冒険者さん
『ツユ恐るべし』
218:名無しの冒険者さん
『で、なんの話だっけ』
219:名無しの冒険者さん
『w』
220:名無しの冒険者さん
『俺らでもイベント上位いけんじゃねって話』
221:名無しの冒険者さん
『そうだった』
222:名無しの冒険者さん
『終焉帝がなんでランクインしてないのか真相は知らんが、終焉帝はもはや敵じゃないだろ』
223:名無しの冒険者さん
『それには同意』
224:名無しの冒険者さん
『むしろ負けるほうが難しくねw』
225:名無しの冒険者さん
『wwwww』
226:名無しの冒険者さん
『じゃあ終焉帝はどうでもいいとしてwwwどのみち、暁戦線とかは怖いだろ』
227:名無しの冒険者さん
『それこそ、ぽっと出の「闇に染まりし漆黒のナンチャラ」とか「アーミーフォートレス」とかいるじゃん』
228:名無しの冒険者さん
『上位がいないからランクインしたとはいえ、結局のところ、強いから上位に上がってきてるんだもんな』
229:名無しの冒険者さん
『てか夏イベってギルド用のクエストもあるけど、基本的には個人で挑むイベントなんだろ? なら、ソロプレイでやってきた「アリス」とか「ジニ」とか「紅蓮」とかも怠くね』
230:名無しの冒険者さん
『うわー、そうだった』
231:名無しの冒険者さん
『有名なソロプレイヤーだと、「スノウ」とか「Marry」とかもいたよな』
232:名無しの冒険者さん
『え、ジニとスノウってソロなの? 確か不死竜にいなかったっけ? 間違ってたらすまん』
233:名無しの冒険者さん
『いや今は二人共不死竜にいるぞ。まあ、あんまりツユとつるんでる感じはしないから、相変わらずソロが多いんじゃね』
234:名無しの冒険者さん
『となると、結局のところ俺らじゃ勝ち目ないじゃん』
235:究極魔導士の冒険者さん
『だな』
236:名無しの冒険者さん
『時間の無駄だったな』
237:名無しの冒険者さん
『www』
238:名無しの冒険者さん
『どんまい』
239:名無しの冒険者さん
『ま、せいぜい頑張れ。徹夜しまくったら50位内くらいには入れるだろ』
240:名無しの冒険者さん
『俺も頑張ろ』
241:名無しの冒険者さん
『夏休みはダラダラすると決めてたから俺はパスかな』
242:名無しの冒険者さん
『どうしよう』
243:名無しの冒険者さん
『お、そろそろイベント始まるっぽいぞ』
244:名無しの冒険者さん
『てことはもう昼か』
245:名無しの冒険者さん
『そんじゃ行ってきますか』
246:名無しの冒険者さん
『んじゃ俺も』
247:名無し冒険者さん
『ちょっくら頑張りますか』
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