七章 第二回イベント(イベント編)
Episode 79「低空飛行」
「こんにちはドラ~、ボクはこのゲームのマスコットキャラクターのドラコ! 見た目通りドラゴンで、好きな食べ物はトウガラシ! ――――今日はFantasia Land Online第二回イベントが行われるドラよ! ――――さて、この広場に居るみんなはもう知っていると思うけど、念の為、改めてイベントのルール説明をするドラ! 聞き逃しちゃダメドラよ? ――――参加するみんなは、とても、と~っても広い大地に転送されるんだ! そこで、いつもより加速されたゲーム内時間で二日間、戦ってもらうドラ! 前回同様、リアル時間だと3時間掛かるから、気を付けてね? ――――そして今回はギルド対抗戦! 参加プレイヤーは、自分のギルドの陣地へと転送されるドラ~。――――そしてルールの説明をするよ! 今回は……王様ゲーム! 転送されたギルドのリーダーは自動的に王様になるドラ。王様を倒されると、そのギルドは敗北。その時点で元の世界へと戻されるよ。ただし、王ではないプレイヤーが倒された場合は、二回まで復活できるドラ! 一回やられてしまうと、ステータス10%ダウン、二回目はステータス30%ダウン。三回目でゲームオーバーだから気を付けてね。敵ギルドの王様を倒すと、そのギルドには1ポイントが課せられ、当然、多ければ多いほど順位は高くなるドラ! ギルドの規模によって、獲得できるポイントには差があるドラ。1から20人のギルドが、それよりも規模の大きい敵ギルドを倒した場合、3ポイント。21から50人規模だと2ポイント。51人以上のギルドは通常の1ポイントドラ。――――そして次はお待ちかね、報酬の説明ドラ~! まず、イベント参加者には、参加賞として『ドラコ人形』と、選択肢から好きなノーマルスキルを獲得できる『スキル巻物』をひとつずつプレゼントするドラ。イベント終了後、50位から31位にランクインしたギルドのプレイヤーには参加賞と同じ物を追加でプレゼント! 30から11位のギルドには、同じく『ドラコ人形』と、『(R)スキル巻物』を! そして! 10位から4位以内に入ると、『ドラコ人形』、『(R)スキル巻物』、『称号』をプレゼント! 加えて、ギルドハウスに『団結銅トロフィー』を設置させてもらうドラ! そしてそして、3位と2位にランクインしたギルドには、『ドラコ人形』と『(SR)スキル巻物』と、10位のよりも豪華な『称号』、『団結銀トロフィー』を差し上げるドラ! 最後にぃ~? 名誉ある1位にわぁ~!? 『ドラコ人形』、『(SR)スキル巻物』、一番豪華な『称号』、それと『団結金トロフィー』を進呈~! ――――よしっ、これで説明は以上ドラね。――――おっと、そろそろイベント開始の時間ドラよ! なんと! 第二回イベント参加者数は……9804人、ギルド数が186! 沢山の参加、感謝ドラ! じゃあみんな、ルールを守って楽しくプレイしてね? 目指せ、上位ランクイン! ――――それじゃあ、行ってらっじゃいドラ~! 頑張ってね~!」
◇ ◇ ◇
私たちが転送されたのは、草むらに囲まれた場所。
雑草の背が高いせいで見晴らしが良いとは言えない。
私、レイミー、フレアさん、ヘッドさん、スノウちゃん、ミカ、ミズキ、『不死竜』のメンバー全員が揃っている。
私たちは、転送されて早々に作戦会議を始めた。
「とりあえず、ツユちゃんはここに残した方が良いわよね」
「ですね」
「私には攻撃が効かないので大丈夫ですよ?」
「確かにそうだったな……」
「先輩、流石です!」
「寧ろ、エクスプロージョンで序盤にギルドを潰しに行くのは?」
「同意」
暫く口々に意見した結果、最終的には、歩く核爆弾作戦が採用された(ミカ命名)。
作戦名はともかく、その実行内容とは、私たちは固まりながら他ギルドまで近づいてとりあえず『エクスプロージョン』ぶっぱという、とても単純なもの。
私の近くにいればダメージをくらうことは無いし、私の『エクスプロージョン』は『誘爆』や『爆破強化』のおかげでもはや遠距離攻撃になりつつあるから、至近距離まで接近せずとも敵を爆破に巻き込めるだろうという予測も踏まえて、この作戦になった。
ミカは、気がついたら倒しちゃってましたてへ☆ がしたいんだとか。
私には意味不明だったけど、なぜか他のみんなは共感していた。
少し寂しさを感じたりなんてしていない。断じて。
ただ、この作戦には一つ問題があった。
それは、移動速度が遅いということ。
そうなれば、爆破音や被害などで気づかれて逃げられてしまう。
正直、私だけならスキル『高速移動』や、昨日手に入れた『クロウサギのローブ』、もしくは竜型のクロの背に乗れば問題は解決する。
だけど、今回は七人纏まって移動する。だから、私だけが良くても、ギルドとしては何も良くない。
ここにきて問題発生。
どうしようか、うーんと頭を悩ませる。
うん? 竜型? クロの背に乗れば解決……?
……! こ、これだ!
◇
ここは上空。
いや、大分低空飛行してるから、もはや上空と言えるかわからない。
とにかく、私は低飛行している。
正確には、私が低空飛行している。
もっと言えば、クロを加えて。
どういうことかと説明すれば……
私は七人同時に素早く移動する方法を考えた。
『高速移動』など、自分しか、または全員ができないことは当然却下。
となると、クロの背にまたがって空を飛ぶか。
でもそれだと、乗れてもせいぜい四人。残る三人がおいてけぼりになっちゃう。
その時、「あれ? 今のクロ……聖竜人になったクロの竜型の体積ならみんなが乗れるのでは?」と思い至った。
早速クロを呼び出し試した結果、体は大きくなっていても、背中に生えた岩などが邪魔して、乗れる人数は変わらず四人だと判明。
けれど、ここまで試したら、もう一つの可能性だって試したくなった。
もう一つの可能性。それは……「私が竜体化すればいけるんじゃ?」と。
試す。
乗ってもらう。
成功!
そうして今に至る。
私の竜バージョンの体は、クロには劣るけどそれでもかなりの大きさで(太ってるわけじゃないよ?)、ゴツゴツはしてるかもしれないけど背中に大きな岩があるわけでもない。
それで、私を抜いた残る二人も乗れたというわけだ。
竜としては初めての飛行。それもいきなり二人(スノウちゃんとフレアさん)も背に乗せて、かつ低空飛行運転。
低空飛行の理由は、そうしないと爆発が地上まで届かないのと、高すぎると遠くからもバレてしまう可能性があるから。
だけれど、慣れれば案外楽だったりする。
そして、背中に乗った二人から合図があれば、『エクスプロージョン』を何度か使う。たったこれだけ。
最初は驚いていた六人だったけど、こちらも次第に慣れて、今は楽しんですらいる。
私はついに人間離れしてしまうのかと最初は落ち込みもしたけど、もう吹っ切れちゃったし。
いや、いつでも人がに戻れるんだけどね。
ちなみに、竜状態である私は装備を着れず、すると無敵フィールドは無かったりする。
だけど、それは竜装備と道化師のナイフとスキルを、スノウちゃんに預けて使ってもらうことで解決している。
そんなこんなで、第二回イベントは開始早々空から仕掛けることとなった。
うーん、風が気持ち良いね!
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