5.葛藤

一人目の犠牲者が出たときはさして興味がなかった。

単純にその子に同情した。


二人目の犠牲者が出たときは怖いと思った。

自分も注意しなければいけないと思った。


三人目の犠牲者が出たときはまさかと思った。

そんな可能性は考えたくもなかったから。


四人目の犠牲者が出たときは疑念がほぼ確信に変わりはじめた。

狂人による快楽的な通り魔殺人・・・そう思いたかった。


五人目の犠牲者が出たとき私は自分を悪魔だと思った。

自分という存在が恐ろしくなった。


そしてこの前六人目の犠牲者が出た。

自分ではもうやめたいと思っているのにやめられない。

もう・・こんなことしたくない。誰か、誰か私を助けて。


この醜い悪魔を・・・・・・裁いて。

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