トヨ創造




運営に創造したスキルを申請し、無事許可が出た。


それがこちら。



祝福化しゅくふくか:人形パペット】···人形に祝福者と同じ権利を与える。



俺はマスプたちが俺たちと同じように生きて欲しいと思った。


だってマスプたちにとってここは仮想世界ではないのだから。


そのためこのスキルの効果でPEOを自由に生活してくれ。


もちろん必要なときは命令するがな。


···あと俺がスキルや職業を選択しなくていいという魂胆もある。


最初のスキル設定はしなきゃならんが、そのあと決めるのは俺じゃなくて自分で決めるべきだろう。


「マスプ、ちょっとこっちに来てくれ」


スキルを申請している間に帰ってきたマスプを呼ぶ。


(?)


首を傾げながらもトテトテと近寄ってくる。


「ちょっと試したいことがあるんだ。“祝福化”」


うわ!眩しい!これも目を攻撃してくるスキルだったのか!


「お?創造主は今マスプに何したんだ?」


俺が何をしたのか分かっていないミュランにも同じことをやり、スキル取得や職業選択ができると説明したら興奮していた。


「これはなんだ?色んな人が喋ってるぞ」


「それは掲示板といって、他人と交流できるツールだな」


それからミュランはハマったのか掲示板をずっとしていた。


俺は昔、造形師スレで誹謗中傷されたからな。絶対やらない。


ここはゲームだから関係ないかもしれないが気にしてしまう。


···暗い話はやめだ!


気分が沈んでいるのを察したのかマスプがよしよししてくる。


マスプがかわいい。かわいすぎる。俺の顔見て笑うの反則だわ。


「すごいな、お腹がすいてきた」


今までお腹は減らなかったのに空腹度が導入された影響だろう。


アイテムで高級料理セットを交換したし準備は整っている。


食材もオノのところに行けばあるから、あとは料理する人だな。


「よーし、料理食べるために料理人作成すっか!」


というわけで強化された【工房】と【人形作成】を使う。


料理はやっぱり女性の作ったものの方がいい。異論は認める。


料理人の髪型は清潔感があるショートだろう。色はオレンジで。


目の色もオレンジでいいか。加えて赤いメガネをかけさせる。


服はエプロン一択だろ。うんうん、いい感じだ。


みんなと違って肌の色も褐色にしてみっか。


「量産してるから作成するスピードが早いな。“命灯”」


「うあー立つのだりー」


えぇ···創造してすぐ寝転ぶのはどうかと思うぞ。


「えっと、ステータス決めてもいいか?」


「あん?おういいぞー」


いや寝るなし。料理人にして大丈夫だろうか。



━━━━━━━━━━━━━━━

名前:トヨ

種族:人形パペットLv1

職業:料理人りょうりにんLv1


HP:280

MP:280


■スキル

包丁術ほうちょうじゅつLv1】

火魔法ひまほうLv1】

水魔法みずまほうLv1】

料理りょうりLv1】

調理ちょうりLv1】

製菓せいかLv1】

解体かいたいLv1】

掃除そうじLv1】

付与ふよLv1】

絶対味覚ぜったいみかくLv1】

食材知識しょくざいちしきLv1】


■称号

『ネジュの人形』

『祝福されし者』


━━━━━━━━━━━━━━━



名前はトヨウケという食の神からとった。


「おーいトヨ、料理作ってくれ」


「ぁん···めんどくせー」


めんどくさいと言いながらも立ち上がるトヨ。


「食材どこだー?」


食材は商会に行けばあると伝えたら、嫌そうにしながら向かった。


その間にスキル構成でも説明しておこう。


料理といえば火と水を使うので魔法はこの2種類。


あと【絶対味覚】は面白そうだったので取得させてみた。


素のHPとMPが増えてるのは新スキルの影響だな。


称号も俺がトヨを祝福化したため獲得したのだろう。


しばらくしてトヨが帰ってきた。ふ、めっちゃだるそうだ。


高級料理セットは出しておいたからいつでも作れるな。


「何作るんだ?」


気になったので聞いてみる。


「ボア肉とウルフ肉でテキトーに」


適当な料理···ものすごく不安になってきたぞ?


急に不安になってきたので見守っておく。っておい!


「肉より先に野菜をフライパンに入れるのか?」


料理できない俺が注意するのもなんだが順番とかないの?


「順番なんてテキトーでいいんだよ」


まじですか。これは人選ミスったかも知らん。人形選か?


トヨを料理人にしたことを後悔していると完成したらしい。


おや?見た目は普通の野菜炒めだ。なんなら美味そう。


だが俺は知ってる。ここで俺は吐いて死ぬと。お約束だからな。


「じゃ、じゃあいただくよ···。ぱくっ」


うん?ううん!?


「うめー!?なんでだ!?なんでこんなに美味しいんだ!?」


魔法だ。これこそ真の魔法だわ。


「ちょっと食わせろ」


トヨは俺から箸を奪い、自分の作った野菜炒めを1口食べる。


ちょ、間接ゥゥ!間接キスゥゥゥゥ!!


だがトヨは全然気にして無さそうだ。


俺だけ意識しちゃってるみたいで超恥ずかしいんですけど!


「まあまあだな」


この味でまあまあだと!?向上心高っ!


何気に洗い物もしっかりやってるし。実はできる女だな···?


「いい匂いがするアルー!」


ビックリした!勢いよくドアが開いてシェが入ってきた。


そして流れるように野菜炒めをぱくり。


間接ゥゥ!間(ry


「マスター!冒険者ギルドに行ってみるネ!」


シェがそんなことを言い出す。あーなんかイベント来てたな。


でもな、今の俺の精神状態では行けそうにないわ。


「シェ、こっち来い」


そしてまた眩しく光り輝く。


シェは唯一俺の人形の中で第二職業に就いてると思われる。


そんなシェにもミュランと同じ説明をした。


掲示板で攻略情報でも見たのか、またすぐ外に飛び出していったよ。


ほんと戦闘好きだよなぁ。戦闘型人形だから仕方ないけど。


そういえば俺って今までどんな型の人形を作成したっけ?


ここで少し整理しておこうか。




まずは最初に作成したマスプだな。


これといった名称がないはずだから今決める。


うーん、生産型人形クリエイトパペットかな?俺の中でこれが一番しっくりきた。


ウェマーやミュランもここに分類される。


次はオノだがこれは商業型人形トレーダーパペットと定義していたな。


主に商会で営業をメインにしてる人形がここに分類されるぞ。


続いてシェが分類されるのは前述した通り戦闘型人形バトルパペットだ。


キーデたちは微妙なところ。あれは獣人型人形アニマルパペットだから。


あとは量産した成長型人形ラーニングパペットがたくさんいる。そのくらいか?


あ!人形繋がりといくと爆発型人形ボムパペットも道具としてあるか。


獣人型人形のエルフ版もそのうち作成したいな。


自分の中で人形の種類をまとめていると昼を告げる鐘が鳴る。


ふぅ、だるいけどイベント中だし行くか。


俺は最低限のものを持って冒険者ギルドへと向かった。






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