本物の彼女

筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36

(一)

 女のグラスに薬を入れた。

 女が戻ってきた。

「そろそろ出ようか」

 そう言われて女はグラスの中身を飲み干した。そしてグラスをカウンターの上に置いた。

「おやすみ」

「なあに? 次のお店、行くんでしょう?」

 その後、女と他愛もないことをしばらく話した。女は急速に酩酊し、ついにカウンターに突っ伏して寝てしまった。

 俺は携帯でタクシーを呼んだ。終電まではまだ時間があるからすぐにつかまえられた。

 タクシーがくるまでの間、女の体を揺すったが女は目覚めなかった。


(続く)

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