ははは! 笑いが止まらんとはまさにこのことだな!
早い時期に作付した作物の収穫が終わり、そちらも大豊作だったことで、シャフセンバルト卿が唸ったらしい。
そしてお忍びでレンガトレントの方に視察に来て、小麦畑の様子に唖然としたそうだ。
「私は夢を見ているのか…?」
って感じで。
「夢ではありませんわ、父様。これらはすべてカリン商会の業績なのです。ですが、実際に収穫し収支を計上するまで今しばらくお待ちください。その上で最終的な評価を戴ければと思います」
とか何とか、メロエリータは返したらしい。
麦と言うと赤かび病とかが心配だったけど、この辺りは冬は結構雪が積もったりもする(その所為で冬小麦の作付は諦めた)けど暖かい時期は逆に割と乾燥してて長雨が降ることがないからか、そういうことは実は少ないらしい。でももちろん全く無い訳じゃないし、ネローシェシカが亡くなる原因になった戦争も、仕掛けた国で小麦に大規模な病害が発生して例年の三割くらいしかまともに収穫できなかったことが直接の原因だったとのこと。しかもその国と同盟関係にあった国でも少なからず病害があり、支援も十分にできなかったことで、生きる為に侵略したのだとか。
その国がある地域はこことは若干気候が違って湿気を含んだ空気が入り込みやすく、この辺りよりは湿度が高く雨も多いということだから元々、病害が発生しやすい環境ではあるらしい。
病害を防ぐには結局、適度な農薬の使用が一番なんだけど、現状ではそれは手に入らないからね。
でもそれも、堆肥を用いることで生育を早め、特に雨が降りやすい時期を避ける形で作付を行うとかいう方法もある。
それに、魔法が微生物に働きかけるものであるなら、もしかしたら病害の予防に効果的な魔法が作れるかもしれない。これについても研究しなくちゃいけないな。
今は手元に病気になった小麦とかがないから研究のしようもないけど、いずれ、どこかでそういうのが発生した時に研究させてもらおう。
夏。堆肥のおかげで生育が早く、いつもより早く収穫が始まった。
もちろん兵士達も総動員して、一気に収穫する。でもそれまで彼らが見たこともない量の収穫だったから、それこそてんてこ舞いってやつだった。
だけど頑張った甲斐があって、収穫量は例年の二倍以上になったってことだった。
「ははは! 笑いが止まらんとはまさにこのことだな!」
収穫を終え、小麦そのものの出来も近年まれにみるものだということで、メロエリータの興奮も最高潮だ。
今季の、クレガマトレンとレンガトレントでの収穫だけで、これまで出資した分の回収はあらかた済みそうだとも言ってたな。
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