向こうでも恋愛結婚とか縁ないかもな~とは思ってたし

雪が降りだしたって、人間は当然、出すものは出す。だからウンチを堆肥化したものの回収と運搬の仕事は、冬の間も関係なく続く。


奴隷の子達が体調を崩したり、ましてや凍傷になったりしないように防寒はしっかりしてもらった。


「こんなの使っていいんでしょうか…?」


リレが不安そうに訊いてくる。だからそれに対して私は、


「あなた達は私の大事な道具なんだから、道具を長持ちさせるのは当たり前。ちゃんと働いてくれたらそれでいいんだから気にしないで」


と、きっぱりと言い放った。彼女達に言い含める時にはある程度は上から命令するような感じにすると逆に安心するらしいことが分かって、ちょっと偉そうにしながら言わせてもらう。


だけど内心では『ごめんねごめんね』と頭を下げてた。どうもこういうのは性に合わない。嫌な相手になら強い態度をとれても、彼女達みたいに明らかに自分に対して腰が低い相手に横柄にするのは気が引けるんだよなあ。店員とか駅員とかに対してやたら偉そうにしてるのとかたまに見るけど、ああいうの、カッコ悪いと自分で思わないんだろうかって感じてた。


私は嫌いだな。あんなタイプ、それこそ彼氏には選ばない。あんなのしかいないのなら結婚しない。まあ、こっちに来ても相手いないけどさ。さすがに異世界から来た異邦人なんて、男性としても困るよね。


異世界に行って簡単に現地の人とくっついちゃう話とか多いけど、現実にはそんなことあまりない気がするんだ。ああでも、そうなれるタイプのをあくまで主人公としてピックアップしてるだけなら、まあ例外的なのでも当たり前か。


でも私の場合はそっち方面での特殊技能やスキルは発動しないみたい。それに魔法使いっていうのは尊敬の対象であると同時に畏怖の対象でもあるから、気軽に言い寄れないらしいんだよね。ネローシェシカの旦那さんは敢えてそこを乗り越えてきた内面イケメンだったそうだけど。


私はこの世界の男性にとってはさらにハードル高いかもしれないな~。そもそも色気とかもないし。女子力アピールとか考えもしなかったからな~。


ま、その辺はいいや。ラブロマンスするつもりもないし。向こうでも、普通に結婚するんだろうな~とか思いつつ同時に恋愛結婚とか縁ないかもな~とは思ってたし。するとしたら見合いとかでって感じ。


とにかく今は仕事仕事。冬の間はレンガトレントにちょくちょく出向いて、指導に力を入れる。と言っても、ガーラフェイルもウォレンタルマも私が指示したことをきちんと守ってくれてるし、新たに調達した奴隷達も、私のところでリレの仕事を学んだラミがリーダーになってきっちりと仕事をこなしてくれてたのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る