地味な話が続くからこの辺はダイジェストで。後から振り返るかもしれないけど
こうして私は、ネローシェシカっていう魔法使いの女性の家に転がり込む形で保護されることになった。
ネローシェシカは、この世界から見れば<異世界>から来た私にとても親切にしてくれて、この世界のこと、この世界で気を付けるべきこと、風習やマナーについても丁寧に教えてくれた。
それだけじゃない。魔法についても一から教えてくれて、それによって私には結構な魔法に対する適性があることが分かった。感心したネローシェシカは、コツさえ覚えればそれなりに高位魔法と呼ばれるものが使えるようになるまでそんなにかからないとまで説明してくれた。
これは、後から分かったことなんだけど、どうやら私は体質的に、この世界の大気に含まれる<マナ>を魔力に変換する微生物の定着率が高かったみたい。それで適性が高かったのね。
もっともそれも、私が努力と研鑽を怠らなければだけど。
まあ、才能があっても磨かれなければ形にはならないっていうことなんでしょうね。
また、私は、魔法の勉強の中でネローシェシカが言ってた、
「魔法は精霊の力を借りて具象化するのよ」
という言葉が何となく気になってた。『<精霊>って何だろう?』って。恐らく彼女達魔法使いにもよく分かっていない魔法の仕組みを何となく説明する為に作り上げられた架空の存在って考えるのが一番しっくりくるかもしれないけど(精霊は目に見えないって言われたから)、大学で微生物を研究してた私は、何故かそれが頭に思い浮かべられてしまったのよね。
だって、腐敗とか発酵とか、誰も何も手を加えてないのに勝手にそうなっていくように、知識のない人から見たら思えるでしょ? まるで魔法みたいに。だけどそれは実際には様々な微生物の働きによってそうなっていくものなのよね。だから私の中では『精霊=微生物』っていうのが結びつきやすかったのかもしれない。
そこで私は、魔法を勉強する合間に、自分の思い付きを確認する為に、ネローシェシカから教わった<虫眼鏡の魔法>を応用して約五百倍の拡大率を得ることに成功した。一般的に量販店とかでも売られてる比較的安い顕微鏡よりはちょっとだけ高性能って感じかな。大学の研究室に置かれてたのは確か千倍だったけど、そこまでにするにはもっと専門的な知識や技術が必要だろうから、私程度だとこのくらいが精一杯かもしれない。
だけど、これでまあ、細菌程度の大きさの微生物までなら何とか観察できると思う。ウイルスクラスになるとレンズで拡大する光学系の方法では無理で、電子顕微鏡の技術が必要になってくるかな。もしかしたら何か方法があるかもだけど、今のところはこれで何とかと思ってる。
それでも、いろんなことが分かってきたのよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます