第14話 商人組合

そんにゃ訳で。

「商人組合から頼まれたのだ。

 タチの悪い連中を捕まえてくれ、とな」

黒ずくめのイルファン隊長が言って。


男たちは捕まった。


チャイニャドレスを着た少女は尋ね事をしたかっただけらしいの。

にゃのに強引に店に連れ込まれて、要りもしにゃいモノを買った事にされて。

あげく、有り金全部置いて行け、とにゃったらしいわ。


有名な観光地には強引に売りつけようとする人にゃんてツキモノだけど。

そういうレベルじゃにゃいわね。

タダの強盗だわ。


アレシュ青年とイルファン隊長で、男たちは商人組合に連れていったの。



「いらっしゃいませ。

 あら、護衛団のイルファンの旦那じゃございませんか。

 久々にお顔が見れて嬉しいですわぁ」


美人の女性が出迎えるの。

気品のある雰囲気。

でも親しみやすい笑顔でお客さんを迎え入れてる。

老舗旅館のおかみさんとでもいった雰囲気かしら。


「アルテミシア殿、頼まれていた連中だ。

 捕まえて来た」


「なにっ、このアホどもが?!

 ウチの界隈を荒らしてるクソゴミどもかよ。

 ぶっ殺すだけじゃすまねぇぞ。

 焼きいれたるかんな。

 ………………

 あら、お客様の前で失礼しました。

 大きな声を出してしまって私ったらはしたない。

 イルファン様、ありがとうございますね」

 

顔中に笑顔を浮かべていた女性が一瞬で笑みがにゃくにゃって。

細い目が鬼の様に吊り上がった!

かと思うと、美人おかみの顔を取り戻す。



「商人組合のアルテミシア殿だ。

 トーヤー、挨拶しておいた方が良いだろう」


イルファン隊長はまったくアルテミシアさんに動揺していにゃい。

トーヤーさんは鬼の顔を見逃さにゃかったみたいね。

少し怯えた風情。


「……4番隊隊長のトーヤーです。

 ……よろしくお願いします」


「ああ。

 女性の隊長さんですね。

 私がアザム団長に勧めたんですのよ。

 護衛団にも女性の隊長がいた方がよろしいと思いますわ。

 その方が女性の新人も、応援する女性の方も増えると思いますわよ。

 そう言ったら、あの方ったら~すぐに私の言う通りにするなんて~。

 もう~やっぱり私の魅力に夢中なんですのね」


にゃんだか後半はアルテミシアさんはクネクネしていて、トーヤーさんたちをマトモに見ていにゃい。

自分の世界に入っちゃってるわね。


「……イルファン隊長、この女性どうしたんだ?」

「うーむ。

 ここだけの話だが……

 アルテミシア殿はアザム団長を気に入っていてな。

 それで団に何かと支援してくれているのだ」


「……団長?!

 あのクマ男にこの美人女性がか……?

 ……正に美女と野獣だな」

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