第90話 ネコザムライ

わたしは必死で森のにゃかを駆けていく。

どんにゃ素早い生き物だって追いつけにゃいようにゃスピード。


ヴィルパークシャーが向かった方角。

そっちに真っすぐ走っていきたいけれど。

ここは森のにゃか、生い茂った木々がジャマをするわ。

もう! 全部にゃぎ倒していっちゃおうかしら。

さすがに乱暴ね。


と思うと見えて来る。

巨大にゃ象の魔物ダェーヴァ


いけにゃいっ!

その足元にいる少女。

エステルちゃんじゃにゃいの?!



封印解除ステータスオープン

【視力強化】

【視力強化】


間違いない。

この砂の国の住人にしては白い肌。

大人しそうにゃ美少女、エステルちゃん。


どう見ても危険。

歩いて行く象の魔物ダェーヴァに踏み潰されかねにゃい。

にゃのに、エステルちゃんは反応していにゃい。

ぼうっとして立ち尽くしている。


急がにゃいと、急がにゃいと。


【速度上昇】

【前足強化】

【後足強化】


ああああ、ダメ!

この速度じゃ、間に合わにゃい。



その時。

わたしの強化された視力が捉える。


大柄な人影。

それがエステルちゃんを突き飛ばす。


にゃによ、乱暴だわ。

と、思うけど、おかげで助かったわ。



あの人影は……

にゃにかしら? アレ……


人影は大きにゃ剣を携えている。

人の身長を超えるサイズの両刃の剣。


重たいハズの大剣を人影は軽く振り、自分の前に突き出しクルリと回転させる。


その前には巨大な象の魔物ダェーヴァ

ヴィルパークシャーも戸惑ったように歩みを止める。



「円月殺法!」


人影は言った。


「やいやいやい、そこの魔物ダェーヴァ

 この額の向こう傷が目に入らねーか。

 我こそは……

 天下御免の猫侍。

 この世の悪、魔物ダェーヴァどもめ。

 退治てくれよう、ネコザムライ!」


………………

わたしもハッキリと大本を覚えてるワケじゃにゃいんだけど。

聞き覚えのあるセリフ。

それが全てゴタマゼに入り混じっているのよね。

そうよね。

 

わたしは足を止めポカーンとしている。


剣をゆっくり回転させていた人影。

その身体は前開きの布の服に包まれている。

和服みたい。

着物を帯で締めている。

そして。

その顔は猫の顔。

三角のおミミが頭から出ていて。

鼻先からはピーンと生えたおヒゲ。

顔中に黒い獣毛が生えて、少しだけ白い毛が入り混じる。


猫の顔に人間の身体。

これが『逃げ足のグレイ』さんが言っていた、猫のようにゃ、猫じゃにゃいようにゃ、とんでもにゃい気配の正体!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る