第21話 食べられるお肉

「その……あの……」


エステルちゃんが可愛い顔に困惑した表情を浮かべてるわ。


「まさかと思うんですが……

 それ、食べるんですか?」


遂に訊いたーーー!!

先程倒した鳥の魔物ダェーヴァ

頭部はライオン、身体は鷲、図体は人間以上。

どう見てもバケモノね。

その死体をトーヤー隊長は血抜きして持って帰ると言うの。


「うん、アンズーの肉は栄養が有るらしいぞ。

 普通の鶏肉より筋肉が多くて若干固いそうだが、上手く料理してやれば相当に美味だと聞く。

 楽しみだな」


トーヤー隊長は顔色も変えずに言う。

いやーん。

それってゲテモノ料理じゃにゃいの。

わたしニガテにゃのよ。

日本でもヘビの肉とかアザラシのお肉好んで食べる人が居るって言うけど。

わたしはクマやイノシシだってあまり食べたくにゃいわ。

ましてアンズー、ライオンと鷲のあいの子、不思議生き物だわ。


「そ、そうなんですか……」


トーヤーさんに相槌を打つエステルちゃんだけど、微笑みが引きつってるわ。

やっぱりわたしだけじゃにゃい。

それって変よね。


魔物ダェーヴァのお肉って食べられるんですね……」


「ああ、アルミラージだって食べられるぞ。

 あのウサギ肉もまずくは無いんだが、食用に出来る所が少ないんだ。

 だからよっぽど困って無いとアルミラージは持ち帰らない。

 こいつは大きいし、たくさん肉が取れるだろう」


トーヤー隊長はズンズンと歩き出す。

その背にゃかにはアンズー。

大きな鳥の魔物ダェーヴァを抱えて歩いて行くの。

ちょっと困った顔で付いて行くエステルちゃん。

うん、うん。

気持は分かるわ。

だけど、エステルちゃん困った顔もカワイイわね。


さてと。

エステルちゃんに付いて行きたいけれど。

わたしはやらなくちゃいけにゃいコトがあるわ。

だって、許せにゃいもの。

トーヤー隊長の弓矢とエステルちゃんの風の魔法があれば帰り道に魔物ダェーヴァが出ても大丈夫ね。

わたしはそっと二人からはにゃれる。

森の中心部へと向かうの。





「なんだって、アンズーが出たと言うのか」

「ああ、これが証拠だ。

 見間違う余地は無かろう」


「いや、頭が無いから良く分からんが……

 いい、トーヤーを信じよう」


トーヤー隊長と護衛団の人間が話してる。

相手の男の人は立派な体格、普通の人より一回りは大きいわね。

顎ヒゲで温和な目、クマさんみたい。


「そうか、森のさほど奥まで行かずともアンズーに襲われるとなると……」

「そうだ、団長。

 森の魔物ダェーヴァ討伐を大規模に実施しなくてはいかんと思う」


トーヤーさんが団長と呼びかける。

そうか、このクマさんみたいの団長さんにゃのね。

わたしはひと仕事終えて、エステルちゃんの臭いを追って来た。

そうしたら、森の入り口で護衛団の人が集合してた場所に辿り着いたわ。

今エステルちゃんやトーヤーさんに追いついたトコロにゃの。

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