スティックとカップ

【い-14】文学フリマ京都_筑紫榛名

(一)

「ねぇ、覚えてる? 昔のこと。小学校のときはいつも一緒に通ってたよね。いつも近所のみんなで一緒に遊んでたよね。中学の頃はなんかお互い意識しちゃってか、なんとなく離れてたけど。高校受験が終わって、同じ高校に通えることになったとき、アタシ、すごく嬉しかったんだよ。一緒に通えるんだって思って。でも実際に一緒に通ったことはなかったよね。マサトはサッカーバカだったから、いつもアタシより早い電車に乗って朝練に行っていたもんね。しかも彼女まで作って、毎朝一緒だったし。アタシ知ってるんだから。


(続く)

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