第24話 話して良かった
「今日はありがとう」
みずきさんを途中まで送っている。
「私の方こそ、話してくれてありがとね」
両親の事を初めて誰かに話して、やっと泣けた事が、まだ夢のように思う。
「あとごめん、服汚して」
「大丈夫だよ、気にしないで」
涙だけならまだしも、鼻水がついていたらどうしよう。
本当に申し訳ない。
「
「えっ・・・」
それって・・・
「良いの?」
「うん」
迷いのない目を見て、僕は真剣な顔になる。
「その時はちゃんと聞く」
「ありがとう」
日々の小さな積み重ねが信頼関係を強くしたのだろう。
きっと話すと決めても、不安や恐怖があると思う。
でも、みずきさんの決意が現れたら、ちゃんと聞く。
聞き逃す事のないように。
「じゃあ、ここで」
「うん」
繋いでいた互いの手が解かれる。
「またね」
「うん、また」
手を振ってみずきさんを見送った。
※
「お兄ちゃん、やっと気持ちが出たね」
「うん」
僕の部屋で
「次は僕がみずきさんの話を聞く番なんだ」
「そっか」
この妹、どこまで悟っているというか、見透かしているのか。
「良い彼女で良かったね」
「僕にはもったいないよ」
「確かに」
「失礼だなー」
クスクスと2人して笑う。
「はぁー、お兄ちゃん一人立ちしたし、私も自分の事を謳歌しよーっと!」
「十分自由な気がするけど」
「分かってないなー」
なんなんだ。
「お兄ちゃん」
部屋を出る前に振り返って僕を見る弦姫。
「みずきさんの事、大切にね」
「うん」
余計なお世話だな。
「未来の義理の姉・・・楽しみ♪」
「はいはい」
妹のペースにはたまに疲れてしまうなー。
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