第69話 いよいよやってきた
「さあ、いよいよやって参りました!ゴブ-1グランプリ!私は本日の司会進行を務めさせて頂きます、オークキングの美人マネージャーこと田村由美です!皆さん宜しくお願いします!」
ギャラリーからは異常ともいえる熱気と歓声がおくられる。
ゴブ-1の会場は非公開なのだが、現実的に考えると新宿ダンジョンの第1階層以外はない。入り口で待ち構えていたギャラリーと一緒にずらずらと会場まで移動するかたちとなった。
「それでは大会委員長である落武者チャンネル・和久津さん、開会の挨拶をお願いします!」
田村に促された和久津が夏目を肩にのせたまま、石畳のリングに上がった。リングはもちろん俺のお手製。丸二日かかった大作だ。
「こんにちは!落武者チャンネルの和久津です!ついにこの日がやって来ました!最弱のモンスターとして知られるゴブリン。ゴブリンを倒すことはここにいる全ての人にとって非常に簡単なことでしょう。だがしかし、ゴブリンにも大きな可能性がある!このことを僕は落武者チャンネルで学びました。今日は8人の選ばれしエクスプローラー達が最強を目指して召喚ゴブリンを鍛えてきました!栄冠を掴むのは誰か?!それでは、ゴブ-1グランプリ、開幕です!」
おおおおおおー!!!!
ふむ。なかなか様になっている。落武者の恰好で偉そうなことを言うのは違和感があるが、成長を感じる挨拶だった。
「それでは試合進行とルール説明です。試合はトーナメント方式で行われ、第1試合から第4試合までが一回戦、第5、第6試合が準決勝、第7試合決勝の順番で進んで行きます。勝敗はリングアウト・降参及び、審判の続行不能の判断で決定します。審判は皆さんご存知、冒険野郎新宿店店主の伊集院さんです!」
冒険野郎・伊集院がアウトドアチェアから立ち上がって礼をした。元々は上級のエクスプローラーとして名を馳せていたらしい。審判としても問題ないだろう。
「武器・防具については自由です!試合中にマジックポーチから取り出しても構いません。ただし、試合中にポーション等の回復アイテム、およびバフ・デバフアイテムの使用は禁止です」
「そして最後にゴブ-1グランプリ優勝者に送られる賞金の発表です!和久津さん、お願いします!」
「はい!ゴブ-1グランプリの優勝賞金は!なんと3億円です!そして副賞としてこちら!」
オークキングのところのスタッフが大きな葛籠をリングに持ってきた。エクスプローラーにとってはこちらの方が3億より価値があるかもしれない。
「なんとこちら!【転移】のスキルが付与された葛籠つづらなんです!」
副賞の発表と共にリング外に並ぶ参加者達の雰囲気が変わった。本気の戦いが始まる。
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