夏休み明け、幼なじみは女になっていた。

@makaaaaaan1182

プロローグ

 僕の名前は神谷蓮かみやれん

 僕には幼なじみの女の子がいる。

 汐田希望しおたのぞみ。きぼうと書いてのぞみと読む、活発で明るい僕の幼なじみ。

 小さい頃からアパートの隣の部屋で、僕が母子家庭ということもあってか、よく一緒に遊んでいた。毎日一緒に朝ごはんを食べていたし、昔は一緒に風呂にも入っていた。

 僕たちしか知り得ない秘密も沢山ある。ほとんど家族のような存在かもだけれど、僕は彼女のことが好きだった。異性として好いていた。

 いつからとかどの瞬間からとか、そういうのは無いけれど。どうしようもなく好きだった。母さんにも僕の気持ちはバレていたし、希望のお母さんからは応援すらされていた。

 気恥ずかしさからいつまでも告白は出来なかったけれど、いつか告白すれば付き合えるというなにか漠然とした自信のような、そんなものがあった。

 とにかくあったのだ。

 高校から付き合っても、どうしようもないだとか、付き合ったところで今までとなにも変わらないだろうと、言い訳ばかりしていた。


 その年の夏休み、希望は妙に付き合いが悪かった。毎年一緒にやっていた課題もその年だけは一緒にやらなかった。

 夏祭りも、花火大会も男友達の野郎臭い夏だった。それはそれで楽しかったのだけれど、心の底では不安だった。

 希望は昔から男まさりの性格だった。活発でサバサバしていて、あまりに元気すぎて僕みたいな根暗男を陸上部に引っ張り出した張本人。だからまさか男付いたとは到底思えなくて、それでも胸の中はざわついていた。



 けれど、夏休み明けに僕は真実を突きつけられることになる。

 希望は、陸上部の部長。新島先輩と付き合っていると言うことに。

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