第5話 虚な人々
学校で例の漫画を描いているところを友達に見られてしまった。
友達は僕を応援してくれた。
「へぇー、面白いじゃん」
「絵、上手いね」
「ありがとう」
「頑張れよ」
僕はとても嬉しい気分になった。
僕は聞いてしまった。
裏切りの声を。
「あいつ、漫画とか描いてんの?」
「しかも、小学校低学年ぐらいの女の子のやつ。なんかキモいよな」
「うわっ、やっば!ロリコンじゃん!」
「ハハハハハハハハハハ」
刺さるような声が僕の心に突き刺さった。
僕の心は徐々に抉られていくような感覚に襲われた。
僕は立ちくらみのような感覚に襲われた。
体が少しずつ少しずつ冷えていった。
震えが止まらなくなった。
今にも倒れそうだった。
噂はすぐに広まっていった。
みんなは僕を見て、冷たく笑った。
僕に味方してくれる人はどこにもいなかった。
僕に味方してくれるフリをする人はいた。
そいつは僕の見えないところで陰口を叩いていた。
その声はとても陰湿だった。
僕に関わってくる人もいた。
しかし、そこには優しさ、思いやり、愛といったものは一切、なかった。
「ハハハハハ、くらえ!ロリータめ!」
「てめぇ、気持ち悪りぃんだよ!消えろ!」
面白がるように僕を叩いたり、蹴ったりした。
彼らは僕をおもちゃとして扱った。
なぜか、学校ではあまり問題とならなかった。
「生徒会長の挨拶です」
「おっ、ツメモトだ」
「いよっ、バカ生徒会長!」
「皆さん、この学校にはいじめがあるようです。これは深刻な問題です。いじめなんてぇぇぇ、いないの、いないの、とんでけぇぇぇ!ベロベロバー!」
生徒会長はピエロのようにおどけた。
ピエロそのものだった。
みんなは僕をおもちゃとして扱った。
みんなはタノシンダ。
虚ろなワライ声が辺り一面に響いた。
とてつもなく虚ろだった。
僕まで虚ろになってしまいそうだった。
僕の両親は僕を励ましてくれた。
しかし、どこか虚ろだった。
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