第10話 フライドチキン
その日は前日ほど遅くならなかったが、自転車で帰るにはちょっと心配な時間になってしまったので、またまた兄貴が迎えに来てくれた。
「
兄貴が「真夜中にこんなお菓子食べるのはお正月以来だよ〜」と言いながら、買ったばかりのスナック菓子を口に入れた。 『サクサクッ』と良い音がして、チョコレートの香りが車内に広がった。
チョコレートは私の大好物だ。 我慢できずに「一個ちょうだい」……と頼むと「おう! 一個と言わず何個でも食いな」と言って、袋の口を向けてくれた。
『サクッ』
「うわっ! ちょー美味しい!」
こんな時間に、しかもお弁当とお菓子を一緒に食べるなんて、子供だったら叱られる所だが、今では誰にも怒られない!
……最近辛い事が続き、自分でも恥ずかしいくらいに気が立っていたが、妙なところで大人になった喜びを感じた。
……私が幸せを感じるのって、やっぱり食べ物に関係してるのね
(〃∇〃)
ふと、ある考えが浮かんで、兄貴に聞いた。
「みんな、もう寝ちゃった?」
「お母さんは判らないけど、お父さんは、明日、お前を送って行くから先に寝るって言ってたよ」
申し訳ないけど……ありがたい。
恥ずかしくて口に出して言えないけど『ごめんなさい』と『ありがとう』の気持ちを込めて、父と母に何か美味しそうな物を買ってあげよう……と思い付いたんだ。
「帰る前に『ロートン』(家の近くのコンビニ)に寄ってくれる? お父さんとお母さんにおみやげ買って帰りたいんだ」
「りょ! よし、ロートン行くなら、俺『ローチキ』食っちゃお♪」
ローチキとは、ロートンで最近発売された『
「大丈夫!? 胃もたれしない!? ……まあ、せっかくだから、私も食べちゃお♪」
「お前こそ大丈夫? あれ結構ボリューミーだよ?」
「私は大丈夫! まだまだ続くサターンとの闘いに向けて、栄養補給しなきゃ!」
……全員分のスフレケーキと、マチコ(飼い猫)にはカニカマを買い、車内でローチキを食べてから家に帰った。
翌朝……
父も母も喜んでスフレケーキを食べてくれたが、兄貴は案の定、胃がもたれてしまい、ケーキの代わりに胃薬を飲んでいた。
……え? 私?
私の胃は相変わらず絶好調で、スフレケーキと自分用に買ったローチキも平らげましたのでご安心下さい!
(私の胃に関しては誰も心配していない……との説あり)
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