20日目
今日、3日いなかった両親が帰って来る。
わたしはほぼ1日中絵を描いて、ダラダラしていた。
母にとって、踊ってない私はゴミである。
一昨日、公演を見に行った話を少しでもすると、途端に不機嫌になる。
わたしがバレエをやめたいと最初に言ったのは小4の時。泣きながらもうやめたいと言っても必死に丸め込まれ、言い返す語彙も持たなかったわたしはあっけなく続けざるを得なくなった。それでもまぁ、あの時はやめなくて別に良かったかな。
それから1年に1回くらい、時々やめたいと言ってみたりしたけれど、母の不機嫌に耐え切れず頑張り続けて、中1の秋。ある日唐突に母が「もう…やめる?」と言い出し、あっさり承諾した。どうしてなのかは未だに分からない。
流れのまま辞めて、流れのまま、やってみたかったダンスのスクールに通い始めて。
ただ、やめた当時のわたしに対する母の扱いは酷いものだった。本当。母にとって、キラキラ踊っているわたしは娘として理想の姿で、あわよくば永遠にそうでいて欲しかったはずだ。母は本当に、踊っているわたしが大好きだから。しかし母の望みに反してわたしは成長する。永遠なんて無いんだよ。
何の世界だってそうだ。成長すればするほどに厳しくなる。プロになる気が無いのに続けたって意味がないのだ。
さらにわたしは小6の頃にはもう自傷癖があって、当時はまだ浅かったとはいえ、傷だらけの腕を晒すことが苦しくなっていた。
キラキラしている娘は好きだけれど、それを無くした途端にゴミだと思われる。わたしは辞めたことを後悔していない。今はダンススクールで彼女と出会えてとても幸せだし、以前一緒にバレエをやっていた友達ともこうして仲良くしているから。だけど未だに母は現実を受け入れられなくて、こうしてわたしが思い出させるようなことを言うと不機嫌になるし、まだくどくど言う時もあるし、「もうバレエなんか見れないわよ悲しくて悲しくて」と、あたかも全てわたしの所為であるかのように悲しむ。だから、踊ってないわたしはゴミ。なんだろうな。もういいけどさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます