第37話 おかえり
あれは……バイド?……!片腕が!あれ……シャルルさんは……あれ?今僕に抱きついてきてるのは……誰?
真っ白な手。柔らかな体。肩に伝わってくる……これは……涙?だれ?この人…。
『思い出せ。ふさぎ込むな。起きろ。早く。大丈夫。お前はもうその答えまで辿り着ける。』
女性?僕と一緒にいた?誰だっけ?あの人は……あの人は……!
「戻って来て!!」
その瞬間。大きなガラスが割れたような音がした。
『いいじゃん。よかったな。』
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「シャルルさん!」
「デコル君!」
僕は……僕は一体何を見ていたんだ!
「チッ。やっと戻ってきたか。随分と遅かったじゃねえか。」
「バイドさん……。ごめんなさい、腕……。」
「…馬鹿か。敵の心配してどうするんだ。そんなんだから乗っ取られるんだ。教訓にしとけよ。」
「……はい……。」
もし僕が戻れなかったら……バイドさんは僕に殺されていただろう。そんな事は……誰も望んでいなかっただろう。
「まぁ、これで、一見落着だな。まだ夜も遅い。ガキは早く帰って寝てこい。今日はもう疲れたろうしな。」
「いや、僕にはまだやる事が…。」
あれ?力がはいらな……。
「大丈夫?デコル君…。」
「シャルルさん…。」
「あ〜止めろ止めろ。甘い空気を作り出そうとするな。後普通そこ逆だろうが。……はぁ。ったく、ガキが俺とまともにやりあって無事でいられるはずがねえだろうが。あん時のお前は確実にストッパー外れてたぜ。」
「……だからあんなにバイドさんに…。」
「あぁ。だからまぁ…はよ寝ろ。で、治せ。まぁ、俺の腕は気にすんな。お前の分解ってのは便利だな。血が出ないなんて思わなかった。まぁそこが唯一の救いだな。」
「……ごめんなさい。」
「……別にあやまらなくても良いってさっき言ってたよ?」
「お前が言うな。俺のセリフだよ…。全く。」
……でもやっぱり…申し訳ない…。
「安心しろ。これくらい仲間に頼めばすぐに治してくれるさ。じゃあな。」
「え、いや、こんな中途半端な別れ方って!」
そういってバイドさんは走り去っていった。
「行っちゃった…。」
「……デコル君も…お疲れ…。後は私がやるから……ゆっくりしてて……。」
「いや……でも……。」
流石に傷だらけの女性に任せるなんて事は……。
「大丈夫……まだ動ける……。」
「いや〜。安静にしてなきゃダメでしょ〜?シャルルちゃ〜ん。」
「「フワラさん!」ちゃん……。」
「というか、一部始終見てましたけど……少し……危なかったようですね〜。本当、無事でよかったです〜。」
「……無事では……ない。私もデコル君も……ボロボロ……。」
「あらら〜。すいませ〜ん。語弊がありましたね〜。まぁでも…助けに来たのには変わりがありませんので〜。」
僕は安心して眠ったのか、その後の記憶がない。
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