称号｢分解者｣はなにかと便利です。

第30話 分解

激しく両者がぶつかりあう中、デコルは焦っていた。確かに今、自分は優勢。だが、シャルルさんの容体は非常に良く無い。早く行ってあげたいが、バイドはかなりの強者。僕が早めに倒せたとしても、その時にはかなり危険な状況に陥っているだろう。じゃあどうすればいい？一体、僕はどうすれば勝てる？

【悩んでおるな、若者よ…。】

⁉︎誰だ！

【ロズだよ〜。久しぶりだねぇ。】

ロズさん⁉︎なんで今…？

【いや〜、悩んでいるようだし、手助けでもしてやろうかと思ってサ！あ、次右斜め前から蹴りが飛んでくるよ〜。】

⁉︎本当に来た⁉︎

【単調な動きなんだから……いや、人間単位で言えば良くやっている方だな。うん。】

……。なんかすごい目線からものを言われたような気がする…。

「おいおい！集中しようぜぇ⁉︎」

「くっ⁉︎」

投げナイフが飛んできたのでとっさに受け流す。

【ハレレ？まだ脳で考えるだけで分解するっていう能力はないのかな？だとしたらもったいねぇなぁ…。】

「え⁉︎どうやって使うの⁉︎」

「だからよそ見すんなって！」

「うわっ！」

ガキイン！

【まぁ、戦いながらって難しいだろうけど、頑張って聞いてな。うん。そんな非効率的な能力が、『神点』なわけ無いだろ？一応俺も聞きかじったことはあるから少し教えてやる。つってもまぁ簡単な話だ。】

一体……なんなんですか……っ！それって！

【奴を殺せ。奴を壊せ。奴を『分解』すると思え。】

え？

「おいおい！急にガラ空きになったぜぇ‼︎」

「危ないっ！」

「あ……………。」

その瞬間。世界がスローモーションに見えた。バイドが僕に向かって、ナイフを投げてきた。その間にシャルルさんが割り込んできて……。

【な？いつかは絶対人に対し、使わないといけ無い瞬間ってのは、くるぜ？今この瞬間がそうじゃ無いのか？】

シャルルさんのお腹に、突き刺さったナイフは、とても綺麗な銀色をしていた。鮮血が、空中で舞い踊り出す。

「あ、あ、あ、………………あ”ア”あ”あ”ア”ア”ア”ア”ア”！！！！」

【中のいい人の死は辛いか？苦しいか？じゃあその元凶は誰だ？殺せよ。分解っ壊せ（ぶっ壊せ）。】

僕は…僕は…。

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SIDE:シャルル

どうしたの？デコル君？急に錯乱しだした。何も起きてい無いのに。攻撃が当たったわけでもない。精神攻撃があった訳でもない。なのに……なんで彼はあんな顔をしているの？デコル君。一体、貴方の目の中には、今何が写っているの？