称号「分解者」はなにかと便利です。

赤狐

序章

第1話 突然の出来事

僕の名前はデコルと言います。コンポース家の末っ子で、今年で14歳になりました。

兄達とは4歳以上離れています。兄姉達はとてもいい人達でいつもやさしくしてくれます。

…けどちょっと過保護な部分もあります。先天的スキルに攻撃系統のスキルがなかったからだと思います。僕のスキルは、「栽培Lv5」と「解剖図EX」しかありません。

そんな僕ですが今…趣味の魔導機いじりをしています。まぁ、ただ分解してるだけかもしれないけど…。

それは置いておきますね。魔導機はいつも兄が持って来てくれます。この家の次男であるメディク兄さんです。

兄さんは優秀な魔導機職人なので良く余ったものや、試作品をくれたりします。

「今度こそ分解させないぞ!デコル!」


「ふっふっふ、僕に分解できないものは無いんだよ兄さん。」


「「いざ尋常に勝負!」」


いつもこんな感じで始まります。魔導機の技術は人それぞれ全く違ったものが多いです。その人の癖が出ると言うか…。

兄さんはその中でも有名な方で全く技術を外にバラさないことで有名です。

兄さん曰く、

「もしバレちゃったら悪用されるかもしれないからね。そのために簡単には分解できないようにしてるんだけど。なんでこんなにも簡単に分解してくるのかね〜デコルは。まさに分解の達人だよ。」


「ありがと、兄さん。けどそこまですごいものじゃ無いよ。スキルの効果もあると思うし。」


「いいや、それは才能でもあるよ、デコル。君はこの家を継ぐことはできないけど、もし職に困ったら僕のラボの分解専門部門のリーダーに入れてあげるから、いつでもおいでよ。」


「極力そうならないよう頑張るよ。」


「来てくれてもいいんだけどな〜。」


確かそんな会話をしたような気がするなぁ。兄さんヒョロくて不気味に思われがちだけどね。素はイケメンなのに損してるなぁ。

そんな事を思い出している内に、

「あ、出来た。」


分解が終わりました。


「またかぁ!悔しいなぁ。」


「でも今回のはかなり難しかったよ。一度でも間違ってたらまたやり直しになってたと思う。」


「改善点とかないかな?」


「そうだね…例えばーーーーーーーーーー」


________________________________________________

随分と話し込んでしまった。でも楽しかったな〜。そんな事を思いながら兄さんのラボから帰っていると、屋敷の方が騒がしくなっていました。とりあえず行ってみよう。

近くにメイドがいたので聞いてみることにしました。

「どうしたんですか?」


「坊っちゃん⁉︎お帰りになったのですか⁉︎」


「はい、それで一体何が…?」


「先程、ロズと名乗る男が急に現れまして…今騎士達が応戦中なのです…。その男の要求は坊っちゃんとお話しすることらしいですが、もしかしたら分解の技術を悪用するつもりかもしれません!ラボに戻っておいてください!」


「分かりました!伝えてくれてありがとうございます!」


まずい。


そう思った。

僕のこの技術は使い方によっては危険だと言うことをメディク兄さんから何度も言われているので知っている。急いでラボに行かなきゃ……!


「ヤァ、初めまして。優秀な『分解者』サン。ンヒヒ。」


「ッ!」


いつの間に背後に回り込まれた…⁉︎こいつもロズというやつの仲間なのか…?


「すまないネェ。びっくりさせちまったようだ。別に警戒しなくてもいいのにナァ。マァいいや。自己紹介の時間だ。俺はロズ。これからよろしく。」


「あなたの目的は何ですか。要件を言ってください…!」


「ハァ、そんな警戒せんどくれや。別に取って食う訳じゃねぇよ。」


じゃあ一体この人の目的は…。


「君に朗報を伝えにきた。」


「えっ?」


「ご家族も一緒に聞いて欲しい。屋敷に行っても構わないかい?」


「いいですけど…。一体騎士達はどうなったんですか。」


「お昼寝タイムだよ⭐︎」


「お昼寝タイム?」

気絶でもさせられているのでしょうか。


「それじゃ行こうか。」

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