第13話

1日目

一週間前から剣の修行を開始した。

最初は体力作りかと思ったが、既に俺の体力は完成しているので不要といわれた。けどサボると衰えてしまうので、今でも剣術と平行して継続している。


剣の型を一通り教えてもらって何度もシャドーする。

身体に剣の型を叩き込み、案山子に打ち込み、何度も何度もやり込む。

モーションにズレがあると師匠から訂正され、時は竹刀をぶち込まれる。

こうして何度も練習して型を覚えた。


剣術と並行して魔法の練習をしているが、こっちは普通だ。

杖を振りながら呪文を唱えることで、魔法を発動させる。

魔法を使う事自体は楽しいけど、最近はワンパターンだな。ちょっと変えてみるか。


修行が終わったら妹の面倒を見てやった。

適当に作ったボールでキャッチボールするだけでキャッキャ喜んでくれるのだから、俺としてはかなり楽だ。

この調子でマシな性格の子に育ってくれないだろうか。



3日目

この日から受け身の練習もするようになった。

最初は柔かい地面の上で、次はレンガの道の上で、その次は山の中で。

戦闘とはこちらの都合通りになるとは限らない。むしろ行かない方が大半だ。故に、あらゆる場所でも受け身を取ってすぐさま反撃するようにすべきだと師匠は仰った。


格闘技と歩法も行った。

師匠曰く、剣術とは剣を使った格闘技というものであり、決して剣のみで戦う技術ではないと。

故に俺は格闘技と歩法を剣術と並行して訓練している。

しかし師匠曰く、俺は剣を使うより拳を使った方が強いとのこと。解せぬ。



7日目

やっと師匠と組手をするようになった。

最初は殴られ、転ばされ、絞められたが、これといって大した怪我はしてない。

貴族の息子だからあまり無茶は出来ないのだろう。しかしだからといって修行内容は甘くない。

強くなったと実感すればさらにレベルアップを要求され、内容もキツくなっていく。

しかも俺が頑張ればギリギリ超えられるラインだ。この人すごいな。

無論、剣術と歩法と格闘術の訓練も並行してだ。


これでも貴族なので剣ばかりに構かけてられない。

魔法の練習と貴族の勉強も行い、魔力トレも継続している。もちろん、妹との付き合いもだ。

最近は俺の訓練を楽しそうに見ている。あんまりかっこ悪いところ見られたくなんだけど……。



21日目

今日から足場の悪い場所で型の練習だ。

師匠曰く、剣は常に道場で振るとは限らいため何時でも何処でも振れるようにしろとのこと。

そういうわけで山の悪路の中、走りながら師匠に不意打ちされながら修行している。

いや、マジで師匠凄い。木の上からいきなり跳びかかって斬りかかるもん。猿かよ。

あと足場悪い場所で剣をふるとバランスが悪くてよく転んでしまう。

ドルフィナスはそんな俺をカッコいいと言ってくれるのだが……。



33日目

今日から目隠しの状態で剣を振るうよう言われた。

魔力と気配で敵を察知し、瞬時に攻防する訓練だ。

最初は魔力をソナーのように周囲へ飛ばすことでズルしていた。

師匠はこのやり方でもいいと言っていたが、出来るなら師匠と同じようになりたい。それにこのやり方は魔力をけっこう消費するからしんどいんだ。早く師匠のやり方を覚えたい。


今日は妹を叱った。

アイツ、パーティで他の子のドレスにジュースを零した癖に、その子に八つ当たりしやがった。

流石にソレは許せなかったので説教したが、そのせいでドルフィナスと喧嘩してしまった。

父上も母上もドルフィナスが正しいとほざいてるので頼りにならない。というか、アイツらは教育関係では最初からアテにしてない。

まあ夕食の時間でドルフィナスも怒りを忘れてすぐに仲直りしたけど。



100日目

今日から訓練が本格的になってきた。

魔法が解禁されたのだ。

師匠曰く、剣術とは自身の持つ能力を十全に使い、そのための状況作りを行うすべであると。そのために剣だけでなく持つ者全てを使い、うまく組み合わせ、勝利への布石を打てと。

俺は言われた通りに実践した。

木刀を振るって剣術を、杖を振るって魔法を、武器がなくなれば格闘を。

持つもの全てをぶつけ、師匠を殺す気でやった。

けど、全て師匠には通じず、ボッコボコにされた。


最近妹も訓練を申し込んだが、父上に止められたらしい。

そりゃそうだ、三か月前ぐらいまでは怪我することなかったけど、最近はめちゃ厳しい。貴族のご令嬢がするものじゃない。

ソレを言ったら俺もそうなんだけど!



200日

全然だ。全く師匠の動きについてこられない。

最近分かったことだが、師匠は魔力の流し方が異様にうまい。

他人の魔力の流れを意識的に探るなんて真似は出来なかったが、師匠との手合わせによってハッキリと分かってきた。

最低限の魔力を完璧に操作して目的を果たしている。俺のようにバカみたいな量を垂れ流しにしない。

これで俺の魔力量が豊富ならいいが、俺のは並み程度しかない。ホントダメダメだわ。

こして師匠から技術を色々とパクろうとしながら一本取ろうとするも、全て潰された。

あの人、俺が放てる最大電撃魔法も剣で斬りやがった。化け物だわ。



365日目

現実を知った。

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