第323話○配信部屋がついに整う!

 6月末で「赤い月と青い太陽」の放送が終わって、同時に第二期制作決定の発表が出ていたから楽しみだなあ。太田さんによると来年の春クールみたいだからまだまだ先だね。


 公私ともに充実した6月も過ぎ去り、今年ももう後半、7月となった。1日には「雨東さん家のご飯」コラボカフェの告知が出た。一日店長といっても配膳とかをするのではなく、100分の予約時間中に行われる30分間のトークショーに出演するだけなんだけど、5回あるからなかなか大変だよね。でも、みんなが圭司の考えたレシピで作られたご飯を食べてどんな感じになるか、楽しみだなあ。

 翌2日の夕方にはこの前買った機材が届いたので、早めに晩ご飯を食べ、19時少し前にいざ自分たちでつなごうと思っていたら、突然チャイムが鳴る。


「えっ、誰だろう?」

「……彩春さんと朋夏さんだ!」

「ええっ、突然どうしたんだろう?」


 二人を家に上げると「セッティングするよ!」と宣言され、4畳の部屋に置いておいた機材がみるみるうちにセットされていく!朋夏曰く「早緑様の配信部屋をセッティングできるとか昔からの夢が一つ叶うんだからね!」とのこと。彩春も友達の機材を一からセッティングしてみたかった、ということで全部おまかせにしちゃったけど、本当に私たちは周りの人に恵まれているよね……。結局、圭司と二人で見守るしかなかったよー。


 二人のおかげで無事に配置も終わり、自室からバーチャルライバーとしての配信が出来るようになった!もちろんリアル顔出しも出来るようになっている。


「早速やってみたいね。」

「そうだな。今晩あたりやってみるか。」

「リアルは普通に定期配信もやっているし、圭司と一緒に出たいからバーチャルのほうでやってみたいな。」

「うん、そうしよう。」

「えっ!それなら私も出たい!」

「朋夏だけずるいよ、私も出る!」

「ええっ!?ギャラとかどうすればいいの!?相場とか知らないよ!?」

「今日は別にギャラとかいらないよ!」

「私も!早緑様の自室からの配信初回に出られるだけで名誉だよ!」

「あっ、ギャラの相場はまた今度教えるね。」

「二人ともありがとう!」


 二人とも出る気満々だったのか、自分のアバターデータを入れたUSBメモリを既に持ってきていた!全く、叶わないなあ。なんと、一緒に出るということで、自宅で配信なんかしたことのない私たちにその道のトップをひた走る二人がいろいろと教えてくれることになった!


「なんかバーチャルらしいあいさつとかいるのかな?」

「早緑様も雨東先生もいらないと思うけどね。」

「じゃあ、そのままで。」

「俺もそれの方がありがたいかも。」

「ファンネームとかはあった方がいいかもね。」

「ファンネームってなんだっけ?」

「私だと果肉っていう奴。」

「ああ!彩春は織物組だったっけ?」

「うん、それそれ。」

「こういうのってみんなに聞きながら決めるの?」

「それでもいいけど、ふたりの場合はファンの数が既に多いから流れが速すぎて拾えないと思うよ。こちらで候補を決めておいたほうがいいと思うな。」

「じゃあ、書き出しておこう!」

「うん、俺も書き出しておくよ。」

「二人で別々に付けるの?」

「未亜は一人で配信することもありそうだけど、俺は一人で配信することはないだろうからなあ。」

「そうしたら私個人のものと二人で一緒に配信するのを聴く人用にしようか。」

「それはいいな。ナインショートの皆さんが一緒にやる時みたいな感じで。」

「いい感じだね!あとは配信の時にTwinsterで使ってもらうハッシュタグかな。」

「あー、実況している人がよく付けている奴だね。」

「それそれ。私は #へべちゃん で、彩春は #西陣戦況 だね。」

「短い方がいいんだよね。」

「そうだね。」

「これも候補を挙げておくよ。」


 ファンアートのハッシュタグとかあるみたいで、その辺の候補なんかも書いていたらいい時間になった!


「もう20時半だね。21時から配信するって告知しようかな。」

「そうしたらまずは待機用の場所を作ってね。」

「あっ、そういうのがいるんだね。」

「うん、アドレスが判るから『ここに来てね』って告知しやすくなるんだ。それで、そのあと、時間が来たらしばらくは配信はじめずに待っておくんだよ。」

「あっ、そういえば、それ疑問だったんだよね。いつも遅れてはじめるじゃない。二人もナインショートのみんなも同じような感じにしているから、何でかなあって。」

「配信時間から少し遅れてやってくる人もけっこういるからその人たちが集まってくるのを待ってから配信するんだよ。」

「なるほど、そういうことだったんだね。」

「彩春も私も2分くらいの待機用映像を作っているんだ。これからの配信スケジュールとかイベント告知とかを織り交ぜてあるんだよ。未亜も今度作ってみるといいかも。」

「圭司も私も映像編集の技術はないからなあ。」

「静止画をつなぎ合わせてBGMを流すだけで全く問題ないから割と簡単だよ。」

「そうなんだ!」

「今度教えるよ!」

「ありがとう!よろしくね!」


 朋夏が一生懸命説明してくれているんだけど、なんか彩春が満足そう。どうしたのかな?って思っていたら圭司が聴いてくれそうだ!さすがだよね!


「彩春さん、なんかすごい満足そうだね。」

「朋夏がしていた説明とほとんど同じ話を高1の頃に私が朋夏にしたんだよ。いやいや、朋夏もついに人に教えられるようになったんだなあって、感慨深くてね!」

「ちょっと!それいわないの!もう、せっかく私が自分で話をしていると思ってもらえたのに!」

「彩春がやって、それと同じように朋夏がやっているということが判ったから二人に感謝だね!」

「未亜ー!」


 朋夏に抱きつかれちゃった!でも、本当だったらきっとお金を出して教えてもらわないといけないようなことを親友だからって惜しげもなく教えてくれる二人には本当に感謝しかないよね。私はちゃんと二人に返しているか判らないけど、いろいろと協力出来るところは協力していきたいな!

 朋夏と彩春の説明が一通り終わったので、改めて配信部屋に入り、待機場所を立ち上げてから圭司も私も初配信のツイストをする。朋夏と彩春がそれぞれ突発出演を告知してくれていた!うわっ!あっという間にものすごい数の人が見に来てくれている!さあ、いよいよ配信スタートが近づいてきた!私たち4人のアバターがちゃんと出ていることも確認して、ドキドキの初配信がいよいよスタートだね!

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