第237話○原作者公認の二次創作!?
満天の星空と温泉、そして気が置けない親友たちとの会話を堪能した!大浴場を出るときにスマホを見ると23時を過ぎたくらい。あと少し話が出来るね!
紅葉と一緒に部屋へ戻ると男性陣はちょうど入れ替わりにお風呂へ入りに行ったのか不在だった。視線を左に向けると明貴子がなにやら冊子を読んでいて、志満が顔を真っ赤にしているのが目に入った。なんだろう?
「二人はなにしてるの?」
「あっ!」
「あー、志満の描いている同人誌の頒布を受けたの!」
「はんぷをうける?」
「ああ、同人誌を買うことをそう表現するんだよ。」
「へー!志満の描いているものを買ったって、明貴子ってBLに興味あったんだ?」
「この辺のジャンルってまだ触れたことがなかったから、今後の創作の参考になるかな、って思ったんだよね。」
「そうなんだ!?」
「アウトプットをするためにはやっぱりインプットって大事だからね。それが親しい親友が生み出しているものなら直接質問も出来る。もちろん音楽とかは心で感じるものだから質問とかはないけど、普段接している時とのギャップを体験することでそれもインプットに出来る。」
「明貴子ちゃんって本当にすごいよね!」
「創作の仕方はそれぞれ違うと思うから私はこうっていう感じかな。」
「私は感じるままに動いているからそういうのってあまり考えたことはないかなあ。」
「未亜はそれでいいような気がする。」
「あっ、紗和。」
「彩春と部屋のお風呂に入ってて、戻ってきたら難しい話しているなあって思ったけど、私も興味があるから混ぜて!」
「紗和ちゃんも参戦だね!」
「志満の書いた同人誌ってこれ?」
「うん、それだよ。」
「……へえ、絵柄はけっこう好きかも。」
「紗和もいろいろとインプットする感じ?」
「どうなんだろう?うーん、確かに曲を毎日書いているわけじゃなくて、やっぱり、テレビを見たり、好きな音楽家の曲を聴いたり、ヒトカラしに行ったりするかな。あっ、最近、実は大崎で歌唱・ダンス・演技の初心者レッスン受けてるんだ。」
「さわちゃん、それも曲作りのため?」
「おっ、もみーも参戦だね。」
「そうだね。歌唱は自分の曲を歌う人の気持ちを知りたい、ダンスは踊る人、演技はミュージカルの曲を書けるようになりたいからっていう目的がある感じかな。」
「紗和ちゃん、すごいね!?」
「私はみんなと違って、大学行っていない分、自分から動いて体験してみないとなにも得られないからね。」
「そうだ、その話を聞いて思い出した。紗和、うちの大学の科目等履修生の試験受けてもいいかも。」
「科目等履修生って?」
「うん、卒業資格は得られないんだけど、事前の選考をパスした人なら年間24単位分まで大学の授業が受けられる制度だよ。」
「へー!明貴子詳しいね。」
「前に紗和がなんかいろいろな美術館とかに行って、学芸員さんの説明を聞いているっていっていたから大学の授業を受けられたら面白いんじゃないかなって思って調べたんだ。科目等履修生のパンフレットももらってあるから今度渡すよ。」
「ほんと!?ありがとう!」
「私たちの通っている経営学部の授業もほぼ全て受けられるし、大渡さんがいる文学部の授業も受けられるよ。出願が3月8日で試験は3月17日なんだけど、パンフレットをもらいに行ったとき、入試課の人が制度の詳細を説明するから一度大学の入試課窓口で相談して欲しいって言ってた。」
「それは面白いね!みんなが勉強している大学ってどんなところなのか興味があったから東京帰ったら早速行ってみるよ!」
「私に足りないのはもしかしたらそういう所なのかな?」
「しーちゃん?」
「うん、大学入ってからも2回ほど新人賞に応募したんだけど、全然ダメなんだよね。明貴子ちゃんも紗和ちゃんも絵柄はいいって言ってくれたけど、それって逆にいうとストーリーはいまいちだっていうことかなとも思うし。」
「あきちゃん、その辺、どうかな?私は商業で漫画描いちゃってるから逆に身近すぎてよく判らないんだよね。私から見ると十分すごいようにも見えちゃって。」
「うーん、少し厳しいことをいうとストーリー展開が読めちゃうっていうのはあるかな。きっとこのあと二人はくっつくんだろうとか、ケンカするんだろうとか、なんかその辺が見えちゃうんだよね。」
「なるほど……。」
「絵はすごい好きなんだけどね。」
「難しいねえ。」
そういうとなんとなくみんな静かになってしまった。志満ももがいているんだね……。私は絵の才能も物語の才能もないからなんともいえないなあ。うーん、でもこの絵は私も好きなんだよね。明貴子の作品にすごくあいそうな……。
「あっ!」
「未亜!?突然どうしたの!?」
「志満、明貴子の作品って好き?」
「うん!実は親しくなってから本格的に読み始めたんだけど、すごい面白いよね。まだ全部読み切れていないけど、最近読んだのだと『先輩が後輩で後輩が先輩!?』はファンタジー色もあって面白かった!それがどうかしたの?」
「あのね、志満の絵って明貴子の作品にすごいあうと思ったの。それで、明貴子の作品をコミカライズしてみて、ストーリー構成を勉強してみるとかどうかな?」
「それ面白いね!私の作品の二次創作とか見てみたいかも!」
あっ、こういうのを二次創作っていうんだ!
「原作者からOK出たよ、しーちゃん!」
「おお、ベストセラー作家・朱鷺野澄華先生から直接見てみたいなんて恐れ多いけど、頑張って描いてみようかな。『先輩が後輩で後輩が先輩!?』はもうコミカライズされていたような気がしたからなにがいいかな。」
「まだコミカライズされていないのだと個人的に『隣のクラスの黒田くんに告白させる100通りのやり方』をしまっちの絵でみたいかな!」
「朱鷺野先生大好きっ子であるかなえちゃんがやってきた!」
「『となひゃく』は、コミカライズみたいなメディアミックスはまだ話が全く来ていないからちょうどいいかもね。とりあえず第一章だけでも描けたら頂戴!」
「私もそれは読みたい!」
「紗和からのリクエストも入りました!」
「なんかプレッシャーすごいけど、描けたらみんなに見せるよ!」
「やった!たのしみにしているね!」
いいきっかけ作りが出来たかな?みんなで少しずつ前に進んでいきたいもんね!志満の二次創作楽しみだなあ。
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