第111話 相談

 やっと帰ってくれたわ、冒険者。

 

 こっちが下手に出ると、すぐに付け上がって調子に乗るし、

お嬢様に借りを作っちまったな。


 食堂で、メニューを考えていたら、お嬢様がやって来た。


 「ちょっといいかしら」


 「はい、なんでしょう?」


 「実は、あなたの作る料理をお父様と、セバスが気に入っていて、

うちの料理長に、教えて欲しいんだけど、駄目かしら?」


 「教えるのは構わないですけど、難しいと思います」

「僕の作っている料理は、このダンレンジを仮想ダンジョンとして、

モンスターの変わりに料理を出しているだけですから」


 「あらそうなの?」


 「大体の料理の作り方はわかりますから、教えられないこともありませんが、

ダンレンジで作られた物より、遥かに劣ると思います」

「それに俺にしか手に入れられない、材料も色々あって難しいです」


 「どうしも食べたいというのでしたら、こちらか、ホテルに来ていただかないと」


 「わかったわ、父にもよく言っとくわ」

 

 「で、こちらから相談なんですけど、そろそろホテルのバイキングをやろうかと」

「商品の選定もだいぶ進みましたし、子供たちに手伝ってもらって」

「とりあえず、試験的に土日の昼だけでもやってみたいなと」

 

 「子供たちにできるの?」


 「まあ、料理の前に立ってもらって、料理がなくなりそうになったら、

僕に知らせてくれる、いわば注文取りですから難しくはないと思いますよ」


「まあ、今日の夜から2班に分かれて実戦してみるつもりです」


       ★  ★  ★


 さっそく、先に食事をする班と、後で食事をする班にわかれてもらい、

実戦形式で、バイキングをやってみた。


 特に問題はなかったが、人数増えたらどうなるかわからない。

まあ、院長と準研修員2人に手伝ってもらえばなんとかなるか?

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