第17話 対決、闇ギルド!
ーー迷いの森に到着した4人。
中はまるで人の侵入を阻むように樹々が生い茂っていた。代わり映えのしない景色の中、警戒しながら進む。
「こんなところに本当にいるのかねぇ?」
ステラが辺りを見渡しながら言う。
「協会からの情報は確かだ、間違いない」
「でもホント不気味だよね、普通なら足を運ばないから隠れ家にはうってつけなのかも」
「......ん?」
ふとマキナは足を止め、足元を見る。
ほんの小さな銀色の欠片があった。
「どうしたんだマキナ?」
「武器の欠片だ、ここで戦闘があったな」
よく見るとこの付近だけ地面が
「ヤツらは上手く隠したつもりなんだろうな」
「でもよく見つけられたわねこんなの、アタシならその辺の石ころかと思うわよ」
ステラが欠片を覗き込む。
彼女の言うとおり、普通の人間なら気付かないほど小さかった。
「資材調達に見逃しは禁物だからな、それで培われたのかもな」
「私も見つけたよー!!」
ぶんぶんとたった今見つけた戦利品を振り回すアリア。
「ちょっ!? 危ないわよ!」
「えへへ、ごめんごめん! ついテンション上がっちゃってさ〜」
「アリア、何だそれは?」
ベローネが尋ねる。
アリアが見つけたのは、刀身が折れた矛だった。
「そこの茂みに刺さってたの、折れちゃってたけどね......でもすごく綺麗だよこの矛!」
恐らく『影の悪魔』が見落として回収されなかった武器だろう。
マキナは手に取り、持ち手の部分を確認する。
そこには『サルマ・ファクトリー』の刻印、隣には年と日付も彫られている。
「サルマ・ファクトリー......サルマ武具店のことか」
「サルマ武具店って、確か街の武器屋さんだよね?」
「ああ、恐らく開店記念に作られた物だ」
何故こんなところに?
こういった記念品は当たり前だが戦闘を想定して作られていない、その店の顔のような役割の物だ。
「......まさか、アイツらが?」
『白銀の翼』が持ち出したのか......?
「ーー暗き森、迷い込むのは、虹の蝶」
その時、
上から声が聞こえた。
見上げると、奇怪な仮面を付けた黒マントの男が木の上に立っていた。
『影の悪魔』リーダー、漆黒のルゴスだ。
「島国アズマの歌のリズムですよ、知りませんか?」
マイペースにルゴスは尋ねた。
「お前が『影の悪魔』のリーダーだな」
「そうですよ、有名人は辛いですな」
マキナは炎魔剣イフリートを装備し、ルゴスに
「お前たちを倒しに来た」
「どうやらそのようで、いやぁ誰も我々に手を出せないと思っていたのですが......命知らずもいるものですね、ましてや4人だけなんて」
すると、周りからガサガサと音が鳴る。
口元を覆う黒い布、身体に
「舐められたものですな!!」
そして一斉に襲いかかる『影の悪魔』の団員達!!
ルゴスは確信していた。
圧倒的数の暴力、まして私達はあの『白銀の翼』に勝ったのだ、負けることはあり得ないと。
しかし、
その余裕はすぐに打ち砕かれる。
「はあああああ!!」
二振りの短剣オルトロスを振るい、団員を次々に倒すアリア。
風のように舞うその姿に『影の悪魔』は翻弄される。
「な、なんだこの女!?」
「クソッ! 速すぎる!!」
そして竜の槍、リンドヴルムを巧みに操るステラ。
暴れ狂う竜の如く敵を薙ぎ倒していく。
「ち、近づけねぇ!? ぐあっ!?」
「暗殺なんて卑怯なことしてるヤツらなんて、真正面だと大したことないのよね!!」
「舐めるなよ女の癖に!
魔術使いの団員から繰り出される中級魔法、
「聞き捨てならんな、そのセリフ」
それがステラに当たることはなかった。
彼女を庇ったベローネによって防がれたのだ。
「な、なんだと!? 俺の魔法攻撃を!?」
「その認識は改めてもらう必要があるな!」
「ひ、ひいい!!
「
「
一斉に放たれる魔法攻撃!
それを、ベローネは全て
「ど、どうなってんだよ!?」
退魔剣ストームブリンガーは如何なる魔法を受け付けない。
そして極め付けは......。
「ーーな、なんなんだよその武器はぁ!?」
燃え盛る刀身の剣、炎魔剣イフリートを振り回し蹂躙するマキナ。
周囲を巻き込む炎の剣戟に団員は1人、また1人と倒れていく。
ルゴスから見た景色は、彼にとって地獄そのものだった。
「な、何だと......私達『影の悪魔』が押し切られるのですか!?」
ありえない、
ありえません、
我々はあの『白銀の翼』に勝ったのですよ!?
なのにこんな、なぜ......!?
「そんなはずはああああああああ!!!!」
ルゴスは木から飛び降り、絶叫と共にマキナに大鎌を振り上げた。
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