小話

羽鳥湊

落ちない女

 先輩に告白された。


 バスケ部のエースで、背が高くて、顔が良くて、頭も良い。

 校内で名を知らぬものはいない、無敵のイケメンである。


 そのイケメン先輩に、放課後に呼び出されて、校舎裏で告白された。

 告白というか、壁際に追い詰められて、いわゆる壁ドン状態だった。


「俺のこと、どう思う?」


 先輩の整った顔がすぐそこに。吐息を感じられるほどの超接近戦。


 私はとっさに足を上げた。

 先輩の急所に膝が命中し、先輩は崩れ落ちた。


 イケメンだからって、どの女も落とせると思って貰ったら大間違いだ。

 

 私は先輩を見下ろして、足早に学校を後にした。

 今日は大好きなYouTuberの生配信があるのだ。

 先輩に構っている暇はない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る