第31話 インドへの道だ

第十九話

インドへの道だ



 白いガレオン船は、楽しみにしていた。


 久しぶりの大西洋だ。スペイン商船を狩りまくるのだ!



***



 私は、インドへ航海することをクルーち告げた。

 建前は香辛料の運搬と言うことにした。


 すると、

「シュベルツさんのお子さんに会うのですよね?」と、アナから聞かれた。


 おい、なんでお前が、それを知っているんだ?


「いえ、ベネちゃんから聞きましたので、はい」

 すると、ベネディクタが、舌を出して「べぇッ」と言っている。

 さらには、「ミーナちゃんには負けないから」


 負けないって、どういう意味なんだよ?

「シュベルツさんのお孫さんのハートを頂くのは、この私なんだから」


 いや、お前、マジで船を降りろ!


「叔父様のところに帰れ!」

「い、や、よ!」


「で、ミーナちゃん、シュベルツさんと上手く行ったら、どうするの? インドに残るの?」

「いやぁ、一度は、こちらに戻って、また、インドに行くか……そのまま、インドに……」と、言葉に詰まるとベネディクタと目があった。


 こいつが、いるじゃないか!


 インドで結婚しても、こいつが船長して、ヨーロッパに帰れば良いじゃんかよ! 


 そうしてやる、ふふふ!



 しばらくして、海軍事務所にインドまで行くことを連絡しておいた。


船名 The key to the future号

行先 ボンベイ

目的 香辛料の運搬

船長 キーナ・コスペル

船員 100名

出資者 アインス商会

船旗 髑髏と未来への鍵

(ボンベイは、今のムイバイ)


「はい、これで大丈夫だよ」

「ありがとうございます」

「気を付けてね。スペイン商船からの略奪は30%の税金を後払いして。

 間違っても、イギリス商船は襲わない様に、軍事裁判になるからね」

「気を付けます」と言って事務所を後にした。


 そして、出港前に景気付けとして、飲む事にした!


 その店は、かつて先代クルー達が、使っていた店らしい。

 改装工事はなされていたが、基本同じようだ。


 そして、この店は、お祖母様とシュベルツさんが出会った店でもあった。


 そして、アインス商会の社員達と乾杯だ!「うわぁー、飲めぇ」


 海賊達には、飲んで食べて歌って騒ぐのは、重要なイベントだ!


 海の生活とは、ストレスがキツイのだ。

 狭い船内で、いつも同じメンバー!

 大波、嵐など大自然からの恐怖や危険がついて回る。


 それを、一瞬でも忘れるため、飲食や歌が必要なのだ。

 くそ真面目では、やってはいけない。


 だが、このイベントが最大のピンチになるのは、言うまでもない。


 誰も戦闘が出来ないのだから。


 次の日は、【二日酔い休暇】なのは、海賊の暗黙のルール。

 あのロジャー海賊団のバーソロミュー・ロバーツは、二日酔い休暇中を襲われて、死亡するんですよね。

 最後の大物海賊のロバーツが……


 しかも、ロバーツは飲まないという皮肉付きだ。


 海賊を始末するなら、酔っているところか、二日酔いのところだな。



「では、イリーゼさん、皆さん。行ってきます」

「あぁ、ボンベイには陸路で手紙を出しておいたよ。安心して行きな」

「はい、ありがとうございます」


「ジャスミン、元気でやれよ。無事で帰ってこいよ」

「父さん、頑張ってくるわ」


 そして、ばっちり整備した我らの白いガレオン船は、ドーバー港を出た。

 すると、スペインのフェロー港から、戦列艦が一隻、移動している。


 試運転臭いな。


「キャプテン、このままでは航路を変更させないとぶつかります」

「あぁ、ハリネズミのように武装していた戦列艦だ。ぶつかる訳にはイカンな」

「……」

「カルバリン砲でハリネズミの帆を撃ち抜け! 失速させろ、前に出る」


 ドォーーン!


 そして、スペインご自慢のハリネズミを差し置いて、我らの白い船は、北アフリカから季節風に乗りギニア湾へ向かったのだった。

 

 斯くして、女海賊団のインドへの10ヶ月の旅が始まった。



 次回の女海賊団は、マダガスカル島です。

 そこにいた者は!

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