第4話 人気の商会なのも頷けますわ
――本日はモンジュ公爵夫人フォスティーヌ様のサロンが開かれており、私も招待を受けて招待客の皆様と交流を図っておりました。
「失礼、もしやブラシュール伯爵令嬢ですか?」
「ご機嫌よう。いかにも、私はヴィオレット・ブラシュールと申します。誠に失礼かと存じますが、貴方は?」
唐突に声を掛けてきたのは銀の髪にシルバーグレーの瞳を持つ整った顔立ちの男性で、艶やかな笑顔を浮かべて優雅なお辞儀で名乗られました。
「ラングレー商会の会長職をしております。アルフォンス・ラングレーと申します。お見知り置きを、レディー。」
まあ、何て美男なのかしら?銀髪と灰色の瞳の色が鋭利で冷たい印象を与えるとはいえ、今は柔らかな微笑みをたたえているおかげで最早ただのイケメンでしかありませんわ。
私の好みは兎も角、婚約者のフェルナンド様も周囲からは優しげな顔立ちの美青年騎士と謳われていますが、全くタイプの違うお二人ですこと。
それにラングレーといえば、フォスティーヌ夫人が贔屓にしていると噂の最近では国内でも人気の商会だったはず。
「ラングレー商会の方でしたのね。お噂は伺っております。また何かご縁があればよろしくお願いいたしますわ。」
「もちろん。ヴィオレット嬢のような美しい方にお似合いの装飾品やドレスなど何でもお取り寄せいたします。これからどうぞご贔屓に。」
フォスティーヌ夫人は社交会でも力があるお方ですから、その方の贔屓の商会となれば皆こぞって真似をして利用したがります。
「それにしても、なぜ私に声を掛けたのかしら?」
一介の伯爵令嬢などよりも高貴な方々が揃うこのサロンで、ラングレー会長がわざわざ私に声をかけた理由。
そういえば、最近ブルレック辺境伯家でもラングレー商会を使っているとか……。
特にフェルナンド様が女性用の装飾品をラングレー商会から数多く取り寄せていると、社交会の
もちろん、私はフェルナンド様から贈り物など頂いた覚えはございませんが。
きっとモニクか、その他の御令嬢にプレゼントなさったんでしょう。
「もしかして、これがフェルナンド様のおっしゃっていた計画の始まりかしら。」
ラングレー会長のようなやり手の雰囲気と整った顔つきの男性ならば、『別れさせ屋』というのもしっくりときますわね。
なるほど、何でも手に入る人気の商会は贔屓のお客様にそのような裏サービスも行っているとは、なかなか考えたものですこと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます