第3話 ファミレス作戦会議2
「破壊、ですか……」
俺は先輩の真剣な表情から目をそらす。先輩の口から、思ってもみないような強烈な言葉が出たからか、それを飲み込むために時間を使った。十数秒後、俺はやっと正面を向いた。
「なんで俺にそんなことを頼んだか、聞いてもいいですか?」
「私、悠斗のことが好きなの。悠斗が入学してきた時からずっと好きだった。でもこのままじゃ私負けちゃう……」
先輩は消え入りそうな声で呟いた。
「一条君、あなたこの学校で起きている異変はまるでラブコメみたいだって言ってたわよね?」
「はい。この異変で俺たちの学校には、知らないうちにラブコメでしか見ない要素が次々と追加されてます。おそらく新学期になってから……」
「新学期が始まって、色々と変化していったわよね。知らないうちに校則が変わったり、制服が変わったり……。でも、一番変わったのは悠斗だと思うの。今まで悠斗が私以外の女子と話してるところなんて見たことなかった。でも、新学期になってあの子が来て……」
先輩は少しうるんだ目で俺の方を見る。先輩もアイツ、
「私の髪が青くなったのも、新学期が始まってからよ。でも一条君の予想が正しかったら、私はたぶん負けヒロインになるよね?」
「はい、おそらく先輩は負けると思います……」
先輩は、少し寂しそうにしながら口をつぐむ。主人公を前からずっと好きでいる青髪純情少女。普通のラブコメであれば、先輩は負ける要素しかない。気まずい雰囲気の中で、俺は少しぬるくなった水を口にした。
「私、納得できないの。私は今まで悠斗のことをずっと好きでいたのにいきなり現れた女の子に取っていかれるなんて、絶対嫌だ」
「先輩が言いたいことは大体理解しました。でも悠斗と水蓮寺の関係をどうやって破壊するんですか?」
俺は先輩の言葉を返すような強い語調で問いかける。先輩は少し申し訳なさそうにしてうつむいたが、すぐにまた顔を上げた。
「人間関係を完全に破壊するつもりはないわ。私には、そこまでできる権利はないから……。でもあの二人を付き合わせないように私……」
先輩はすっと息を吸った後、再び真剣な表情に戻った。
「私……、悠斗に告白しようと思うの」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます