第10話
宿の食事は、色んなホテルでお馴染みのバイキングだ。
なめこをお土産にするだけあってキノコ料理が豊富だ。
炊き込みご飯やキノコ汁など興味をそそられる。
バイキングの醍醐味はなんといっても、一緒にきた人間との選んだものの違いだろう。
何をとったの?
それはどんな味がするの?
などど、話をするのが醍醐味なのだが…オオダとミナトの選んだラインナップはほぼ同じ。
それこそ、オオダがアレルギーで食べれないものが入っていないくらいだろう。
「なんだか、面白みがないねぇ。」
「おん、なんだ喧嘩をうっとんのか?
ウチは買うぞ。」
いとも簡単に戦闘態勢になったオオダだったが、店員さんが先に頼んだ飲み物を持ってきてくれた。
赤い蜂蜜の飲み物だといったが、正確には赤い蜂蜜の入ったアロニアのドリンクみたいだ。
今回はサワーで頼んだ。
帰ってもお酒があるのに、なぜアルコールにしたのかって?
…聞こえませんねぇ。
「改めて、かんぱーい。」
「うぇーい!!」
のほほんと乾杯といった楓に続いて、テンション高めにそう返事をして軽くグラスを合わせる。
とても綺麗な赤のアロニアのサワーを見てから、グラスに口をつけた。
爽やかな酸味を僅かな甘みがありお酒を飲み慣れていない人にも飲みやすいだろう。
ふう…と息を吐きだした後にオオダをみると彼女の眉が少しキュッとなっていた、果物をあまり口にしないから果物の酸味に慣れていないからだ。
最初の一口こそ眉を潜めていたが、慣れたその後は普通に飲んでいる。
「そういえば、ミナトに嫌いな食べ物ってあるの?」
「ん?
…そうだね…鼻があまり強くないからワサビみたいな鼻に強い刺激のくる食べ物は苦手だよ。」
その話は初耳だったオオダは、へぇ…と驚いた表情になる。
ミナトはグラスの飲み物を飲んで一呼吸置いた後に何かを思い出したようで、ジト目で少し笑った。
「とはいえ、食べれないことはないのよ。
だから、昔…親族の集まりでワサビ入りの寿司しかなかった時の妹の悔しそうな表情が頭から離れないわ。
姉ちゃんも食べれなかったんじゃ…なんていってね。
貝類とか油の多い肉に少量のワサビをつけて食べるのは、私も好きだもの。」
「それは、わかる!
ワサビのおかげでサッパリして美味しいよね。」
その話をしたら食べたくなってしまうのが、ミナトの単純な所でバイキングの会場を見て回ったが…残念ながら貝類の刺身や寿司はなかった。
シュン…とした表情でかえってきたが、彼女の手にはデザートが握られている。
ちゃっかりしている女だ。
お腹一杯のオオダは、飲み物を飲みながらミナトが食べ終わるのを待った。
ミナトが食べ終わったら、本来の目的のここの温泉だ。
ミナトが食べ終わったのをみたオオダは急かすように手を引いて夕食会場を後にして部屋に戻った。
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