枕返して

唐突に枕返しって妖怪がいたことを思い出す。



なんでだ? そうか、暑さが見せる毎年の悪夢のような幻影の一つか。


陽炎じみたそれは、時間が過ぎてなくなってしまうもののはずが、ちょっとした連想ゲームをしたい学生が脳内に座ってしまったかのように消え去ってくれなかった。


帰って! っていってもわくわくした顔でただただこっちを見つめてくるのだ。怖い。



さて、枕返しである。


枕返し。



存在自体が「?????」ってなる妖怪ちょい多くね? 多いべ?(言葉の乱れ



妖怪の中では薬缶吊るが好きな俺がいうことではなかった。薬缶さんは意味不明すぎて逆に好きというやつである。なんだ、突然ぶら下がってくる薬缶って。シュールすぎるでしょ。なんでこれで妖怪名乗れると思ったの? 感すごいでしょなんか。その勇気感すごいでしょ。誰かの置忘れか捨てたのでは? という疑いすごいでしょ。



で、枕返し。


枕ひっくり返したり、上下入れ替えたりする感じの奴。


地方によって子供の姿をしていたり坊主だったりと曖昧な感じらしいけど、



それ子供じゃね(暴論



それ子供でしょ(結論



「貴様の枕を裏返して寝苦しい夜をプレゼントしてやろう! サプラ―イズ!」いや、もうちょっとなんか頑張ってください感あるでしょ。枕返すだけならまぁまぁ子供できできるやつでしょ。


ちょっとこさホラーとか、超常現象というものに対して判定がパッカパカでガッバガバじゃないですかと思ってしまうのだ。



「ま、枕が返されている……! これはここであった事件の幽霊か妖怪の仕業なんだ……! だって……枕が……返されている……!!!」(戦慄)



なるだろうか。よく考えてほしい。なるだろうか。


これに対する返答は「何!? それは大変だ! そんな妖怪がいたとは……!」だろうか。「あ、はい」じゃないだろうか。(寝ぼけてるなぁ)じゃないだろうか。それか半笑いにならないだろうか。



対処しなきゃ!(陰陽師感



より



対処しなきゃ(目を覚まさせる的意味で



ではなかろうか。



枕返しの諸君らにはもっとよく考えてほしい。


「枕足元じゃん……寝相悪いな」で終わらないだろうか。


ちょっと無理くりすぎないだろうかと思ってしまうのだ。某漫画のタイムスリップどころか並列世界移動かますようなチートレベルなやつなら「やだ、怖い。ここどこよ、ホワイ」となるけど、基本枕返しは枕返す存在なんでしょ。むしろそれは枕返しって名付ける方がおかしいレベルになるので別問題としてあげてください。



いや、怖いと思うよ?


知ら居ない人が起きたと聞いて枕ひっくり返している光景みたらそりゃ怖いと思うよ?




でもそれ枕返されてるからでも妖怪だからでもないんだよね。人間でも怖いじゃんってなるやつなんですよね。「うわぁ! 知ら居ない人いる! 怖い! 殺される!」的怖さなんですよね。「ふと、目をそらした瞬間視線の端に青ざめた肌の空洞の目をした子供が――」みたいなオカルトチックなホラー的な恐怖じゃないのね。




子供とも坊主とも呼ばれている。


いや、そもそも夜にそんな存在を見て、




「お、おれは夜目覚めたら枕を返している子供のような存在を……見た!」




でどうしたの? 見たとしかいわないということは、その後は? 見ただけ? なんで?


いや見る以外の行動をしてくれ。確認してくれ。金縛りにする能力も追加されるのか?


 

子供とはいえ、知らない子だったらある意味怖いから確認するでしょ!!!



消えるの? 目の前ですぅーっと消え去るの?


それ枕返されるインパクトよりよっぽど強くない? それ別の奴って思わない? だったら逆に枕を返されていることと関連付けできなくない? っていう疑問符のラッシュをかけてしまいたくなるのだ。


「目の前で人が消えた! イリュージョン!」的びっくりと枕返されて戦慄はちょっとイコールできなくない? どっちかっていうと消えてるほうを主張しない? 枕より。


じゃなきゃ寝ぼけてたんだって正直に言いなさい。誰も怒ったりしないから。


(予想より話が大きくなってしまった……まいったな)


みたいな感ないですか。なんか。


と、この辺まで考えて(俺は何を)と正気に返ったのだ。なげぇよ。やめてくれよ。


夏じゃなくてもとちくるっているが、特にとちくるってる夏の熱に浮かされた頭がこんなことを出力し始めるのどうにかしてほしいのであった。


とにかく、枕返しはレベル上げに励んで枕返しLv99になって灼熱の枕とか凍える枕とかできるようになるか、レベル上げて進化してマックラケーシーとか別の妖怪感でる感じになって妖怪感出せるように頑張って。応援はしない。


とりとめもない感じで打ち切り。

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