第600話 再会

 頭が覚醒すると目慣れた医療室の天井が目に入ってくる。医療室って事はまた怪我をしたのか‥。

 長い夢を見ていた影響なのか、直前の記憶がすぐに出てこない。

 目を閉じ、記憶を辿っているとすぐ近くで声が聞こえてくる。



『大丈夫ですか、お兄様?』



 初めて聞く声に驚き、さらに俺の事をお兄様と呼ぶことに驚く。



 妹???

 え?

 俺に妹がいるのか?

 医療カプセルの影響なのか思い出せない。

 妹?

 確かに地球で妹がいたような‥

 頭に中に妹との思い出が浮かんでくる。

 誕生日‥

 入学式‥

 一緒にお風呂‥

 一緒のベッド‥


 ん?

 お風呂もベッドも子供の頃の記憶でなく、何故か大人の姿をしている。

 え?

 俺たち、大人になっても一緒にお風呂に入って、寝てたの??

 兄妹で???



『お兄様、大丈夫ですか?』



 妹が心配して、また声をかけてきてくれた。

 いかんいかん。

 兄が妹に心配をかけては駄目だ。


 俺は上半身を起こして、身体を妹に向ける。



「ごめん、心配かけたな。◯⬜︎◯⬜︎」



 !!!!!!

 妹の名前が思い出せない!!


 俺の焦った表情を見て妹が声をかけてくれる。



『お兄様、大丈夫です。

 お兄様は頭を怪我したせいで、少し記憶を失っているだけです。

 そのうち、記憶は戻ってきまので‥。

 ちなみに私は妹の伊集院楓です。』


 妹は満面の笑みを浮かべると、そのまま俺にキスをした。

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