第573話 最高神ふ

 目が覚めると泣きながら抱きついてくる女神様と眩しくて何なのか分からない存在がいた。


「斗馬!!

 目が覚めて、良かった〜。」


 女神様が感極まって抱きしめる腕に力を込める。


「う゛ぅ」


 思わず変な声が出てしまう。


『女神よ、嬉しいのはわかるが人間が死んでしまうぞ。』


 眩しい何かの声が頭の中に聞こえてくる。


 うわぁ〜、脳内に直接話しかけてくるって‥。絶対女神様より偉い神様だよ。


『正解!

 中々賢いではないか。

 我は最高神。

 神々の頂点に立つ者だ。』


 げっ!

 神々の頂点って‥

 土下座でもした方がいいのかな?


『ハハハハハ

 中々面白い事を考えるな。

 だが、変に媚びられるのは好きではない。

 普通でよいぞ。』


 普通って‥

 絶対嘘だよね。

 タメ口聞いたら首が物理的に飛ぶやつだよね?

 俺は騙されないよ。


『ハハハハハ

 最高神が騙すわけないだろ?

 いや、面白いな!

 我を疑う者など天界には存在しないぞ。

 うむ、気に入った!

 お主、天界で働かないか?

 今なら週休2日制で残業は月20時間以内。社宅は無料。

 食事代や光熱費も無料。

 ネットは常に最速。

 全世界のテレビが見放題。

 Hul◯やNetfli◯も無料だ。

 どうじゃ?

 働く気になったか?』


 クッ!

 正直言って心惹かれるものがある。

 だが‥


「ごめんなさい。

 妻が地上にいるし‥

 バスで異世界を旅する目的も果たしていないので‥

 申し訳ございません。」


 俺が断りを入れると女神様が泣き止んだのか会話に参加してくる。


「ちょっと、最高神様!

 斗馬は地上で成すべき事があります。

 寿命をまっとうしたら天界で私と一生を過ごす事になりますので‥。

 ちなみに私が働くので斗馬は扶養に入ってもらいます!」


 え?

 それは初耳だけど???

 女神様の言葉に驚かされる。


『まさか断られるとは‥

 上位神なら食いついてくると思うが‥

 う〜ん、ますます欲しくなったな。』


 最高神様が動きを止める。


『最高神の願いを断るとは‥』

『面白い!』

『はぁ?

 人間風情が調子に乗りやがって!』

『別に嫌なら断って良くない?』

『我も断るのは良いと思う。』

『なぁ、コイツ良くない?

 何でもハイハイ言うやつは我は好かん。

 少し逆らうぐらいが丁度いい。』

『はぁ?

 最高神に逆らうとかありえない!

 洗脳するか殺そう!』

『おいおい、いつの時代の神だよ?

 そんな簡単に人間を殺すなよ。』


 ・

 ・

 ・


「こうなった最高神様は長いからほっとこう。

 それより、キスして!」


「いや、最高神様をほっとくて!」


「いいから!

 もう我慢でない!」


 そう言うと女神様が強引な唇を重ねてくる。


「ちょっ、待って!」


 止めようとするが女神様のキスが激しくなる。


「待たない!

 ね、しよう?」


 女神様が襲いかかってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る