第92話 逃さぬ


 突然のアリアの叫びに騒いでいたエルフ達が静かになる。


困惑しているエルフ達をよそにアリアの言葉は続く。


「この者は、我らをワイバーンから救いにきた女神様の使徒であるぞ。

 その使徒様を疑うなどあってはならぬ!!」


アリアの叫びにエルフ達がショックを受けたようだ。

さっきまでの殺気が嘘のように収まって、今度は憧れのような感情を感じる。


うわぁ、手のひら返しじゃん。


冷めた目つきでエルフ達を見ているとアリアがブツブツと何かを言っているのが見えた。


何を呟いているのかな?


よーく目を凝らして口元を見ると‥


に が さ ぬ


と言っているようだ。


あっ、コイツ俺が助けに来たわけじゃない事を知ってるのに、勝手に救世主に仕立てやがった。


それも俺を逃さぬ為だ。


俺は目の前のアリアに対して警戒心を強めるのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る