第2話 パチンコ沼に沈んでいく者たち

「パチンコは麻薬 【パチンコはあなたの人生を奪います】」のメインコンテンツは「パチンコの断章」と呼ばれる、ネット上から集められた「パチンコで人生を破壊された」人々の体験談だ。


 大学生になってパチンコを知り、沼にはまって学業がおろそかになり留年を繰り返して最後には中退。といった証言から、

 社会人になってパチンコにはまって給料のほぼ全額をパチンコに使い、生活費は同居してる彼女持ち。という証言、

 さらには証言が正しいというのなら、10代の頃からパチンコ沼にはまってそれから30年近く沼に沈み続けている。という人までいる。


 インターネットの普及で日本全国からのパチンコ中毒者パチンカスの証言を一手に集められるというのは、

 インターネットの普及前では決してできなかった「革命の申し子」と言っても過言ではない、少なくとも設立当時はそうであった「革新的な」サイトだった。




 これらネット上から集められた数多い証言の中で共通するのは「どうしても辞められない」というものだ。

 負けることが分かっている。なのにどうしてもパチンコをやってしまう、という証言が実に多い。

 私はパチンコをやってないのでその辺の心理は分からないが、ネットから集められた証言によるとパチンコ沼にはまるともはや自分の力では止められなくなるそうだ。


 証言の中には「生活費には絶対に手を出してはいけない」と分かっているから「パチンコ代はカードローン(当時で言えばサラ金)でキャッシングする。勝てたら返せばいい」と思って実行「してしまった」人までいる。

 当然そんなのうまくいくわけがなく、借金が雪だるま式に膨れ上がってどうしようもなくなる。という所まで共通している。




 中にはパチンコ屋で働いていて「仕事中負けている人間を散々見ている」にも関わらず、パチンコ店からでた給料を「今度は勝てるはず」と思って使ってしまうという証言さえある。

 ここまで来ると完全に「パチンコ依存症」と言って「薬物依存症」と同様に自分の意志では止められないところまで来ているのだろう。

 実際病院の中には「依存症外来」という外来まであり、パチンコ依存症を「病気」と定義して治療を行っている施設もあるそうだ。




 そして、パチンコ沼に沈んでいく人というのは「『驚くほど』ポジティブ」だということだ。

「パチンコは麻薬」に記載されている情報ではないが、負けたのを「パチンコ銀行に預金だよ。いつか必ず取り戻せる」などと言い訳したり、

 パチンコ依存症を治療する集まりに出席したパチンコ中毒者パチンカスが「パチンコ辞めたら1億円もらえますか? オレはパチンコを続けたら1億もらえると思ってるんで辞めませんよ」

 と言って途中退席することもあったそうだ。


 いくら負けても、いくら負けても、「い く ら 負 け て も」今度こそは勝てる。そう「根拠もなく無条件に」信じている。信じてしまっている。

「勝てるまで続ければ負けたことにはならない」という「ギャンブルでは絶対に考えてはいけないこと」を直球で「信じて」いるのだろう。

 実際今までトータルでいくら負けたのかは考えないし、収支のメモの1つ取らないし、勝った時のことしか考えてないのだから救いようがない。




 そしてパチンコ依存症というのはパチンコ中毒者パチンカスの周りの人間関係をもむしばむ病気だ。


 パチンコにはまって借金を重ねて、借金しているのを隠さなければいけないから恋人に結婚しようと言えなくなる。

 親からカネを無心してその足でパチンコに行って有り金全部をスッてしまう。

 友人や知人、大学の後輩がパチンコ沼に沈んでパチンコの話しかしなくなり、愛想をつかされて孤立する。


 あるいは人並みの友情や愛情よりもパチンコの誘惑が勝ってしまい友達も恋人もどうでもいい、パチンコさえあれば孤独ではないと思い込んでしまう。

 そして実際に恋人や友達を失い、さらにはお金まで失ってはじめて気づく……のならまだいい方で、最悪の場合は現実を直視するのが怖いのか、自殺するところまで行ってしまう。


 それが「パチンコ依存症」という「やまい」だ。




【次回予告】


パチンコは麻薬 【パチンコはあなたの人生を奪います】は、パチンコ沼に沈んで人生を棒に振った人々の話以外にも、管理人のパチンコに関する鋭い考察も見ものだ。


第3話 「ホームページ制作者の考察」

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