飼い主が替わったビーグルちゃん

ビーグルの女の子 7歳

独り暮らしの高齢のお父さんと暮らしていたが、お父さんが急逝。

隣家であり、お父さんの弟さんの家で暮らす事に。


質問 今の暮らし、こうなってしまった事をどう思っていますか?

<私は幸せよ。(ニコニコ笑顔)ご飯が美味しいし♪

 お父さんが毎日会いに来てくれてるし。寂しくないよ>


???お父さん???・・・お父さんが会いに来てると言いましたね?


ここで、「ごめんなぁ~、置いていってゴメンなぁ」と言いながら、

ビーグル女子の耳元を優しくなでるオジサンの姿が視えた。

依頼主に確認すると、それは亡くなったお父さんで間違いないそう。


えーっと・・・亡くなったお父さん、何か伝えたい事はありますか?

(人も動物なので、亡くなった方と話す事は出来ます)

「いやぁ~・・・このコより先に死ぬつもりは無かったんだけどなぁ。

 しくじったなぁ。考えが甘かったなぁ。

 子供の事は全然心配してないんだ。独り立ちして、自分たちでやっていける。

 孫も、ちゃんと親が育てるから大丈夫だろ。

 ただただ、自分の心残りは、このコなんだ。

 置いていってゴメンなぁ。先に逝って、ゴメンなぁ。」


お父さんが亡くなった後、ご飯も食べなくなって落ち込んでいたビーグルちゃん。

今はとっても元気で、ニコニコしております。

なのに、お父さんは、

「オレの気がかりは、このコなんだ。このコの事だけが心配なんだ」を繰り返す。


ビーグルちゃんが語ってくれました。

<お父さんのお世話をするのが、私のお仕事だったの。

 お父さん、朝だよ。起きて起きて!って、吠えておこしたり、

 お父さん、散歩行くよ!って、一緒に運動したり。

 お父さん、寝る時間だよ。おやすみ。ってお父さんを寝かしつけて、

 その後、家の周りを警備したり。


 なのに・・・お父さんがいなくなったの。

 お世話をするお父さんがいなくなったから、

 私は何をすればいいのか?判らなくなったの。

(この時期、ご飯も食べなくなっていた)


 そしたらね、成仏した後なのかな?

 お父さんが自分が霊になって、こっちに来れるって気づいたみたいで、

 私が「お父さん」って呼んだら、すっ飛んできてくれるようになったの。

 「ゴメンな。ゴメンなぁ」って、ヨシヨシ撫でてくれるの。

 だから、寂しくなくなったよ。


 あとね、お母さんがね、私がご飯を少し食べただけで、

 「ご飯、食べた~♪」って、凄く喜んでくれたの。

 え?ご飯食べただけで喜んでくれるんだ?と思ったら、私も嬉しくなったの。

 だから、又ご飯を食べたの。

 お名前を呼ばれたから、はーい♪って、お母さんの方を向いて尻尾振ったら、

 「名前呼んだら、こっちに来てくれたわ~!!」って、凄く喜んでくれたの。

 ねえ、ご飯食べただけ、尻尾振っただけで喜んでくれるのよ。凄くない?

 私は、何のお仕事もしていなのに。


 私を見て喜んでくれるお母さんが、大好きになったの。

 毎日楽しいよ。ごはんも美味しい。お父さんにも会えてる。

 私は今、幸せだよ。>

 

ビーグルちゃんの幸せな気持ちを、依頼主さんに伝えた後、お父さんにも一言。

「お父さん、ビーグルちゃんは大丈夫です。ニコニコ笑ってます。幸せですよ。

 これからは<ゴメン>はやめて<可愛いね>と言ってあげて下さいね。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る