嫌いなはずなんだ

 お前なんか嫌いだ。顔も声も、仕草も全部。何も見たくも聞きたくもない。そうだ、それなら記憶を全部消してしまおう。そう思って、スマホ内の写真のデータを消した。現像した写真を破り捨てた。お揃いのものも処分した。これでやっと離れられる。それなのにどうしてだろう。なぜこんなにも虚しいんだ。

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